気まぐれヒーロー2




「悪ィけどよ、俺はオメーを逃すつもりはねえ」



言い放ちながらギラッと、虎の目が鋭い光を宿す。


声まで尖り、いつもの笑みを引っ込めたタイガの顔つきは、牙を隠しきれない。



「オメーが選んだんだ。そばにいることで、どんな目に遭うか……わかってて、俺らを選んだ」



そうだ。

これは、私が選んだ道。


太郎さんに忠告されても、

もう元には戻れないと、知っていながらも。



「うん、私が決めたこと。わかってる。後悔なんてない。だけど……」



そう、後悔はない。

でも、自信も……ないの。


迷いながらタイガを見返すと、しばらく探るようにこちらを見つめて──
気が抜けたように、表情を緩めた。

深いため息のおまけつきで。



「ああ、オメーってヤツはいきなり妄想爆発すっし、俺を敬わねえし俺の魅力もわかってねえし、すぐ泣くしビビリだしそのくせ強がっちまうし、可愛げねえし実際可愛くもないしで、どーしようもねえヤツだけどよ」



なんかすごい言われようだ。

コケにされすぎて、逆に何も感じないくらいだ。



「マジでしょーもねえ女なら、とっくに切ってる。たとえ響さんの妹でもな。どーでもいいヤツにいつまでも付き合うほど、暇じゃねえんだよ」



そしてまた、いつもの調子でタイガが笑うから。



「ごちゃごちゃ考えんな。俺らはオメーといる。それが答えだ」



不安が嘘みたいに、スッと引いた。


何でかな。
タイガにそう言われると、それでいいんだって思える。


安心をくれる。


芯が強くて、本当は厳しい──そういう人だからこそ。

認めてくれたのが、たまらなく嬉しかった。



「優しいね、タイガは」

「なんだオメー、今ごろ気づいたか。みんな半世紀前には承知の事実だ」



いや、半世紀前てアンタ。
生まれてもねーだろうよ。エロの『エ』の字もねーでしょうよ。



「タイガは……ジローさんのそばにいてくれるよね。ジローさんを、支えてくれるよね……?」



やっぱりタイガが、一番ジローさんに近いんじゃないかと思う。


ジローさんの魂に問い掛けられるのは、タイガなんじゃないかって。