気まぐれヒーロー2




背後から次々と被さってくるピンクな声はさらにヒートアップしちゃって、私を追い立てる。

一刻も早く、このハレンチ地獄から脱出しなければ!
じゃなきゃ私の方がエロテロリストに屈してしまう!!


タイガの手からリモコンを奪おうとしても、さっと避けられてしまい、また手を伸ばせばかわされる。

それの繰り返し。
きっとタイガは私をからかって、遊んでる。


だって、意地悪な笑顔してるから。



「もらったあああ!」

「うおっ」



勢い良すぎたのかもしれない。


両手で掴みにいった瞬間、バランスが崩れ、そのまま体ごとタイガに突っ込んでいき──

とんでもないトコロに滑り込んでしまった。


タイガの、膝の上に。



「…………」

「…………」



これは……どうしたものか。

急いでどきたいとこだけど、この何ともいえない気まずい空気にタイミングを逃してしまった。

なんで私、タイガの膝の上なんかに、座っちゃってるんだろう。



「あの、えーっと……」



ちらりと上目遣いにタイガを見やれば、改めて間近に、男の勲章に彩られた顔を拝むことになった。

平常時は素晴らしく整った顔が、今は潔いほどにアザだらけの腫れまくり。

どれだけの力で、どれだけの時間殴り合えばここまで酷くなるんだろう。

そりゃこの顔じゃ、女の子には会えない。
会っちゃいけないと思う。お互いのために。


まじまじと、“男の勲章”だらけの貴重な顔を眺めていると。


タイガが、やけに真剣な目で口を開いた。




「マジ、ヤらせてくんねえ?」




さらりと。
言い放った。


とても日本語だとは思えなかった。

新たな言語をマスターしたのかと、感心すらしそうになった。



「今ならヤれる。オメーでもヤれる。すんげえ腹減ってたら、どんなマズイメシでも食えんのと同じだ」



しかしそれが日本語だと脳が理解した瞬間、私は条件反射でヤツに頭突きをくらわしていた。


タイガはおでこを押さえ、悶絶していた。