まさかのタイガのセリフに、きょとんとする。
「そーなったら悲惨だもんな~。責任取って……って。なーにマジヅラしてんだオメーは」
ソファーの背もたれに両腕を広げて乗せ、いつも通りふんぞり返って話していたタイガは、何も言ってこない私が気になったのか、肩越しに視線をよこしてきた。
「……ジョーダンだぞ」
「わ、わかってるよ」
わかってる。いつもの軽いノリだってことくらい。
でも、「娶る」とか言われたら。
たとえ相手がタイガであろうと、一瞬でもドキッとしちゃうのはしょうがないじゃん。
これでも一応は、性別上は“女”なんだからさ。
「だいたいな、そんなに自分のカラダに自信あんのか。“損”どころか“得”だと思えよ。この俺に“見てもらえた”んだからよ」
面倒くさそうに続けながら、ガラステーブルに置いてあるリモコンを手に取るタイガ。
「せっかくイイトコだったのに邪魔入っちまった」とぶつぶつ文句を言いながら、テレビの電源をつけた。
「一人前に恥ずかしがんなら、これくらいのスタイルになってからほざけ」
バカでかい画面に、パッと映し出されたのは艶めかしい映像。
男女が、生まれたままの姿で絡み合っている。
我が目を疑ったのは、言うまでもない。
そして、部屋中に大音量で響くのは──
女の人の、とってもイヤラシイ喘ぎ声。
部屋の空気が一気に、ピンク色に染まってしまった。
信じらんない……
コイツ、私たちがお風呂入ってる間……AV見てやがった!!!
「ウソ、ちょっとヤダ、バカ!!なんてモノ見てんのよ!!」
スピーカーから流れ続ける卑猥な音は聞くに堪えず、画面なんてもちろん直視できない。
私は慌てて立ち上がり、ソファーにもたれてAV鑑賞しているタイガの正面へ回り込むと──
ヤツの手からリモコンを奪い取ろうと、勢いのまま手を伸ばした。


