「いつまでそーやってんだよ」
あれから。
タイガに、全部を見られちゃってから……。
浴室からどうやってここまで来たのか、記憶がない。
今私は、前に晩ご飯をご馳走になった、あの広い部屋にいた。
タイガは部屋の中央、白い長ソファーにどかっと腰を下ろしている。
ジローさんはキングサイズのベッドで、うつ伏せのまま顔だけ横に向けて、寝かされていた。
一応腰にはバスタオルを巻いてもらって。
そして私は……部屋の隅っこで、膝を抱え三角座り。
顔、上げられない。
タイガと目、合わせられない。
もうちゃんと制服着てるし、どうってことないんだけど。
それでも、ムリ。
さっきのが本気でショックだった。
なんかタイガだったら、服着てても透けて見えてそうでイヤだ。
何でなんだろう。
何で……よりによって、エロ帝王だったんだろう。
他の誰かだったらいいってワケでもないんだけど。
「お嫁、行けない……」
「あ?」
ぼそっと漏れた声に、タイガがめんどくさそうに聞き返してきた。
「もうヤダ……なんでいきなり入ってくんのよ……」
「きんきゅー事態だったからだろ」
「だからって、だからって……!お風呂入ってたのわかってるくせに……!」
「だから5秒やっただろーが。なのにオメーはぼさっとしたまんまで、なーんも隠そうとしねーしよォ。見てくださいって言ってるようなもんじゃねーか」
「違うもん!!バカバカ!!」
がばっと顔を上げ、勢いのまま噛みついた。
「あんだよ、俺が見なくたってもともとヨメにゃいけねーだろ」
私の乙女心なんて、タイガはちっともわかってくれない。
それどころか、ぐさりとナイフを突き立ててくる。
もう、マジ泣きしたい。
涙目になって俯く私を見て、少しばかり罪悪感を抱いてくれたりしたんだろうか。
タイガは、
「ま、地球上の男全員誰ももらってくれねーってんなら──サイシュー手段、俺が娶ってやるよ」
慰めなのか何なのか。そんな言葉をかけてきた。


