──脳みそシャッフルされそうなくらい頭をブンブン振り、口元まで湯船に沈む。
ぽこぽこと泡が弾ける中、私はさっき起こった惨劇を思い返して打ちひしがれていた。
……って。
そうだ、ジローさん!
完全に忘れてた。
現実逃避しすぎて、彼のこと見えてなかった。
「ジ、ジローさん!わかりますか!?ジローさん!」
鼻血を出した後、ジローさんは浴槽の縁に顎を乗せ、両腕もだらんと投げだし、うなだれていた。
ノボせたうえに出血までして……さすがにダメージが凄まじいんじゃないのかな……。
傷つくのは後回しにして、とにかく私は放心状態のジローさんを揺すってみた。
それでも彼は何の反応も示さず、ぐったりしたまま。
どうしようどうしようとおろおろしながら、助けを呼ばなきゃ……でも誰を?と混乱していたその時。
「オイ、何だ今の悲鳴は!!女の悲鳴だったな!!俺の出番か!!」
ドタドタという乱雑な足音と、聞き慣れた騒がしい声が浴室の向こうから迫ってくる。
間髪入れず、バンッと。
磨りガラスの戸が壊れる勢いで開いた。
「さあどこだ、俺のセクシーな女神……は……」
白い湯気のなかに飛び込んできた、金髪。
入り口に勇ましく立つ──潰れアンコウ。
「タイガ!!ちょうど良かった、ジローさんが大変なの!」
ほっとした。
タイガが来てくれたから、何とかなる。
そう思って、安心しきってたのに。
「タイガ……?」
ヤツは一向にこちらに駆け寄ってくる気配もみせず、ジローさんの横にしゃがむ私を見たまま、瞬きもせず固まっていた。
何なの?
眉を寄せ、タイガに訝しげな視線を投げる。
「……あ、ああ。わかったわかった、事情はわかった。それよりオメー、今から5秒前に戻るからな。なんとかしろよ、いいな?」
「は?」


