気まぐれヒーロー2




──脳みそシャッフルされそうなくらい頭をブンブン振り、口元まで湯船に沈む。

ぽこぽこと泡が弾ける中、私はさっき起こった惨劇を思い返して打ちひしがれていた。


……って。

そうだ、ジローさん!


完全に忘れてた。
現実逃避しすぎて、彼のこと見えてなかった。



「ジ、ジローさん!わかりますか!?ジローさん!」



鼻血を出した後、ジローさんは浴槽の縁に顎を乗せ、両腕もだらんと投げだし、うなだれていた。

ノボせたうえに出血までして……さすがにダメージが凄まじいんじゃないのかな……。


傷つくのは後回しにして、とにかく私は放心状態のジローさんを揺すってみた。


それでも彼は何の反応も示さず、ぐったりしたまま。


どうしようどうしようとおろおろしながら、助けを呼ばなきゃ……でも誰を?と混乱していたその時。



「オイ、何だ今の悲鳴は!!女の悲鳴だったな!!俺の出番か!!」



ドタドタという乱雑な足音と、聞き慣れた騒がしい声が浴室の向こうから迫ってくる。


間髪入れず、バンッと。


磨りガラスの戸が壊れる勢いで開いた。



「さあどこだ、俺のセクシーな女神……は……」



白い湯気のなかに飛び込んできた、金髪。

入り口に勇ましく立つ──潰れアンコウ。



「タイガ!!ちょうど良かった、ジローさんが大変なの!」



ほっとした。

タイガが来てくれたから、何とかなる。

そう思って、安心しきってたのに。



「タイガ……?」



ヤツは一向にこちらに駆け寄ってくる気配もみせず、ジローさんの横にしゃがむ私を見たまま、瞬きもせず固まっていた。


何なの?


眉を寄せ、タイガに訝しげな視線を投げる。



「……あ、ああ。わかったわかった、事情はわかった。それよりオメー、今から5秒前に戻るからな。なんとかしろよ、いいな?」

「は?」