気まぐれヒーロー2




「わわっ、ちょ、ちょっと大丈夫ですか!?」


急に肩に重みがのしかかった。
次の瞬間、それがジローさんの頭だと理解した。

もたれかかられた勢いで、さらに素肌が密着する。

頭が一瞬真っ白になった。


……待った、この状況はダメよ!!

っていうか、何!?
ジローさんもノボせちゃったの!?こんな肝心なとこで!?

私もなんだけど!
私もけっこう限界きてるんだけど……!!


いかん。このままでは共倒れ。


二人して沈んで溺れるなんてことになったら……恥!!

しかも家のお風呂で!!アホにも程がある。


万が一救助されても、二人とも素っ裸だし!

そのまま救急車乗せられたりしたら、もう人生終わる。

あっという間にご近所さんに知れ渡るに違いない。


『奥さん聞きました~?花鳥さんちの娘さん、男とお風呂入ってたらノボせて倒れたらしいわよ~。救急車で病院に運ばれたんですって!』

『まあ、なんてフシダラなの!ミダラよ、ハレンチよ!いやらしい!!』


なんて噂が広まって、近所付き合いは消滅。
我が家は世間の冷たい目に晒され、やむを得ず引っ越してヨソの地へ……。


うわあああ!!そんなことになったらお先真っ暗!!
なんとしてでも阻止せねば!



「ジローさん、しっかりしてください!あがりましょう!ゆっくりでいいから立って!!」

「むー……」

「ほら、しゃんとして!夜逃げだけはイヤなんです!!」



ぐったりと私にもたれる彼の肩を掴んで、どうにか起こす。
大きな体を支えながら見ると、ジローさんの目は完全にとろんとしていた。


う、私もくらくらする……。


ダメだ!!私がへばってどうする!


「ジローさん、私につかまってください」


とにかく、この熱気から逃れないと。

ジローさんにはまだ意識があって、私の声も届いてたんだと思う。

指示通り、彼は私の肩に手を乗せて立ち上がろうとした。


でも。

でも……。


その手が、ずるっと。


私の肩から滑り落ちた。