気まぐれヒーロー2




その炎に、あなたも……呑まれてしまったの?

覆い尽くされてしまうことを、恐れた?


アイツの深い緑ではなく。

揺らめく、真紅に。


その激情の色に。



「どこにも行きません。ジローさんのそばがいい。だって、私はあなたのペットなんだから。おさんぽにも連れていってもらわないといけないし、遊んでもらわないといけないし」



頭なでなでしてもらいたいし。

ぎゅって、何度だって抱きしめてほしい。

たくさん可愛がってほしい。


思いは止まらない。
未来にあなたを思い描くだけで、華やかに色づいていく。

あなたが欲しくて、欲しくて。

私はこんなにも、欲張りだ。


あれもこれも、と手を伸ばしたくなる。



「幸せがどこにあるか、私はちゃんと知ってます。だから、あなたのそばにいます」



ただ──好きだから。

あなたを、愛しいと思うから。


自分でも信じられないほど大胆な言葉を、彼へ贈る。


身一つなのに。

ううん、身一つだからこそなのかもしれない。


遮るものは何もない。
私たちを妨げるものも、今はどこにも。


この体と、この目と、この声だけで。

ハダカのあなたに、真正面からぶつかっていける。


ねえ、ジローさん。

私、勘違いしてしまいそうになる。

こんな私でも、必要だと思ってくれるの……?


嬉しくて、世界が滲む。

瞳に、透明な膜がうっすらと張る。


そばにいてくれと、あなたが言うのなら。

そばにいたいと、私は心から願う。


望まずにはいられない。


いさせてほしい。

あなたが、生きるのなら。



「ハイジは、強いですね。すごく意地悪だけど。意地悪なくせに……その何倍も、何十倍も、優しい。厳しい優しさを持ってる人」



何度も挑まれた。

地面にへたり込んだって、すぐに手を差し伸べてくれるわけじゃない。


立ち上がらなきゃ、置いていかれる。

ぐずぐずして汚れた足を見つめているだけじゃ、アイツは容赦なく背を向ける。

立とうとしなければならない。この足で。


よろめいてもみっともなくても、前に進むのだと。
遥か続く道を見据え、奥歯を噛み締めて立ち上がった、その時。


そこでようやく──アイツは手を差し出してくれる。


よくやったな、と。

暗闇を払う、熱い手が。


もう一度歩めと、光を掲げてくれる。