外は快晴で、どこまでも清々しい青空が広がっていた。
気持ちのいい天気だというのに。
“……何してんの”
“見てわからんのか、チョコあんパンくんを食おうとしとるんだ。でも食えんのだ”
そこにいたのは、行方不明だったタイガーマスク。
なんでこんな場所に──その疑問はヤツの姿を目にして、解けた気がした。
たぶん学校の倉庫から拝借してきたんだろう。
太い鎖で腕ごと胴をぐるぐる巻きにされ、非常階段の柵に縛りつけられたまま、あぐらをかいている。
そして。
ヤツの背中からは、おもちゃのミニ釣り竿がにょきっと突き出ていた。
そこから糸が垂れ、先端にくくりつけられているパンがタイガーマスクの鼻先でゆらゆら揺れている。
どうやらタイガの大好物の、チョコあんパンらしい。
さっきから何度もタイガは大口を開けて「あむっ」と食べようとしているんだけど、
前のめりになるたびにパンも同じ軌道でスイングして、まるで追いかけっこ。どうやっても届きそうにない。
気づいているのか、いないのか……。
無駄だとわかってても、タイガはお口をパクパクしながら、同じ動作をずっと繰り返していた。
“ひーちゃーん、許してくれよー悪かったよー。頼むからチョコあんパン食わしてくれよー。じゃねーと精力枯れてカワイコちゃんと【ピー】もできねーよー”
“っせーな、お前全然悪いと思ってねーだろ。そこでもうちょっと反省しとけ”
やはり、タイガーマスクにこんな罰を仕掛けたのは飛野さんだったのだ。
ひーちゃんの地味な復讐はなかなか効いているらしく、タイガはしょんぼりしていた。
“なあ、もう取るぞコレ”
身動きとれないタイガーマスクを飛野さんがくすぐってイジめている横で、ジローさんが不意に口を開いた。
誰が返事するより早く、彼は顔面を覆っていたお面に手をかけ……
ウルトラマンになりきるための、あの大事な変身道具を外してしまった。
“ひっ!”
露わになった彼の顔に、もうちょっとで心臓がご臨終されてしまうとこだった。


