気まぐれヒーロー2




外は快晴で、どこまでも清々しい青空が広がっていた。

気持ちのいい天気だというのに。



“……何してんの”

“見てわからんのか、チョコあんパンくんを食おうとしとるんだ。でも食えんのだ”



そこにいたのは、行方不明だったタイガーマスク。

なんでこんな場所に──その疑問はヤツの姿を目にして、解けた気がした。

たぶん学校の倉庫から拝借してきたんだろう。
太い鎖で腕ごと胴をぐるぐる巻きにされ、非常階段の柵に縛りつけられたまま、あぐらをかいている。

そして。

ヤツの背中からは、おもちゃのミニ釣り竿がにょきっと突き出ていた。
そこから糸が垂れ、先端にくくりつけられているパンがタイガーマスクの鼻先でゆらゆら揺れている。

どうやらタイガの大好物の、チョコあんパンらしい。

さっきから何度もタイガは大口を開けて「あむっ」と食べようとしているんだけど、
前のめりになるたびにパンも同じ軌道でスイングして、まるで追いかけっこ。どうやっても届きそうにない。

気づいているのか、いないのか……。
無駄だとわかってても、タイガはお口をパクパクしながら、同じ動作をずっと繰り返していた。



“ひーちゃーん、許してくれよー悪かったよー。頼むからチョコあんパン食わしてくれよー。じゃねーと精力枯れてカワイコちゃんと【ピー】もできねーよー”

“っせーな、お前全然悪いと思ってねーだろ。そこでもうちょっと反省しとけ”



やはり、タイガーマスクにこんな罰を仕掛けたのは飛野さんだったのだ。

ひーちゃんの地味な復讐はなかなか効いているらしく、タイガはしょんぼりしていた。



“なあ、もう取るぞコレ”



身動きとれないタイガーマスクを飛野さんがくすぐってイジめている横で、ジローさんが不意に口を開いた。

誰が返事するより早く、彼は顔面を覆っていたお面に手をかけ……
ウルトラマンになりきるための、あの大事な変身道具を外してしまった。



“ひっ!”



露わになった彼の顔に、もうちょっとで心臓がご臨終されてしまうとこだった。