「ジローさん、やめて……」
ただでさえ湯船につかってるだけでノボせそうなのに、ジローさんからの刺激まで加わって、全身の血が煮え立つみたいに熱くて……意識が遠のきそうだった。
それなのに。
「お前、可愛すぎて無理」
懇願したって、彼は取り合ってはくれない。
私の肩に顔を埋める彼がちょっとでも喋ろうものなら、それだけで言い知れない感覚が頭の奥を麻痺させる。
生温かい舌がつつっと肌を滑ると、爪の先で撫でられたようなこそばゆさに声が漏れそうになって、抑えるのに必死だった。
ジローさん……どうしてこう、急にえっちなスイッチが入っちゃうんだろう……。
前もそうだったし、これが本性なの?
やっぱりジローさんも男だから、えっちなの?
それとも……これも犬とのスキンシップ!?
でも、今は……密室で二人きりで、お風呂に一緒に入ってて……しかも裸で……って!
よ、よく考えたらスゴいよこのシチュエーションは!!
いけない、その事実だけでくらくらして気絶寸前……。
ダメダメダメ!
今ここで気を失ったら、それこそ一生の恥!
誰に運ばれるかわかんないし、素っ裸を晒すわけにもいかない!!
ど、どうにか意識を保って。平常心で構えておかないと──。
って、極限まで追い詰められてる私の胸の内なんて、ジローさんがわかってくれるはずもなくて。
彼は、私の思考さえも奪っていく。
「、あっ……」
耳にかかる吐息で、ジローさんの呼吸がほんの微かに乱れているのがわかる。
次の瞬間、耳たぶを甘噛みされて……彼の舌が、艶めかしく、這う。
その動きに翻弄され、口を堅く結んでこらえていたのにあられもない声を出してしまい、羞恥に顔が赤く染まった。
出したこともない自分のそんな甘い悲鳴に、体温が急激に上がって、本気で倒れそうだっていうのに……
「んな声聞かされたら、ヤベえんだけど。お前やらけェし……止まんねえ」
私の耳を舐めながら、低く妖艶な声色で囁かれて。
「ぃやっ……!」
彼は私の体を、その手でまさぐってくる。
少しお湯が波打つ。
全身がびくっと強張って……胸の奥で、恐怖が芽生えた。
今のジローさんは、宇宙人でもなければボケボケでもなく、ウルトラマンジローでもなくて。
「ちょ、ちょっとストップ!ジローさん!わ、私タマですよ!?」
私には……ただの“男の人”にしか思えなくて。
怖かった。


