“なに言ってんの。そばにいなくたって、気持ちはちゃんと伝わってるよ。小春が守ってくれたあの時から……ずっと。小春は、私を強くしてくれたんだよ”
ほんとにこの子は、どこまで優しいんだろう。
どうしてそんなに他人のことで心を痛めてしまうんだろう。
呆れちゃうくらい、純粋なんだから。
うるんだ瞳で私を見上げてくる小春の頭を撫でてあげると、ようやく笑顔が戻った。
うふふうふふ、と二人で笑い合っていると──
“タマのオトモダチのウサギだ。俺のだ。捕まえるなら今だ”
何やらケダモノの視線が……。
背中にゾワゾワと悪寒が走り、私は反射的にケイジくんに目で助けを求めた。
“小春ちゃん、何か飲みにいこっか”
すぐに察してくれたケイジくんは、おどおどする小春をうまく連れ出してくれた。
言わずとも何でもわかってくれる彼は、心底頼りになると思う。
“お、俺のウサギが……”
ふっ。やはりな。
落ち込むジローさんを見て確信した。
この人、キューティーバニーな小春を捕獲する気まんまんだったのだ。
危ないところだった。
もうちょっとで小春もペットにされてしまうとこだった。
ハイジ、ケイジくん、小春もいなくなって、ジローさんと飛野さんと三人になってしまった。
飛野さんはまだわざとらしく、今来ました風を装っている。朝会ったのを覚えていないんだろうか。
ジローさんは相変わらずウルトラマンのお面をつけたまま。
わざわざこんな小道具まで用意して、ヒーローを演じてくれたのは本当にすごく嬉しかった。
でももう舞台から下りたんだから、外してくれてもいいのに。
ジローさんの顔、ちゃんと見たいな。
綺麗な切れ長の目が見たい。
銀髪の隙間から覗く、ゾクリとするようなあの目を。
けれど、ダルそうに歩くジローさんは、私の願いなど素知らぬ顔で、ぼんやりと前方にウルトラマンなお顔を向けたままだった。


