気まぐれヒーロー2




“なに言ってんの。そばにいなくたって、気持ちはちゃんと伝わってるよ。小春が守ってくれたあの時から……ずっと。小春は、私を強くしてくれたんだよ”


ほんとにこの子は、どこまで優しいんだろう。

どうしてそんなに他人のことで心を痛めてしまうんだろう。

呆れちゃうくらい、純粋なんだから。


うるんだ瞳で私を見上げてくる小春の頭を撫でてあげると、ようやく笑顔が戻った。

うふふうふふ、と二人で笑い合っていると──



“タマのオトモダチのウサギだ。俺のだ。捕まえるなら今だ”



何やらケダモノの視線が……。

背中にゾワゾワと悪寒が走り、私は反射的にケイジくんに目で助けを求めた。


“小春ちゃん、何か飲みにいこっか”


すぐに察してくれたケイジくんは、おどおどする小春をうまく連れ出してくれた。

言わずとも何でもわかってくれる彼は、心底頼りになると思う。



“お、俺のウサギが……”



ふっ。やはりな。

落ち込むジローさんを見て確信した。


この人、キューティーバニーな小春を捕獲する気まんまんだったのだ。

危ないところだった。
もうちょっとで小春もペットにされてしまうとこだった。


ハイジ、ケイジくん、小春もいなくなって、ジローさんと飛野さんと三人になってしまった。

飛野さんはまだわざとらしく、今来ました風を装っている。朝会ったのを覚えていないんだろうか。


ジローさんは相変わらずウルトラマンのお面をつけたまま。

わざわざこんな小道具まで用意して、ヒーローを演じてくれたのは本当にすごく嬉しかった。

でももう舞台から下りたんだから、外してくれてもいいのに。


ジローさんの顔、ちゃんと見たいな。

綺麗な切れ長の目が見たい。

銀髪の隙間から覗く、ゾクリとするようなあの目を。


けれど、ダルそうに歩くジローさんは、私の願いなど素知らぬ顔で、ぼんやりと前方にウルトラマンなお顔を向けたままだった。