私の“目”が、この人を見る目つきが、言葉より先に伝わってたのかもしれない。
“お前……何だその目は!!”
きっと、睨んでたんだと思う。自分でも気づかないうちに。
逆上した学年主任の手が、私に襲いかかってきて──
瞬間的に体を強張らせ、構えた。
何かされるんじゃないかって、痛い思いをするんじゃないかって、覚悟したけれど。
“ええ加減にせーや、オッサン”
学年主任の太くて丸っこい指は、私の目の前でピタリと静止した。
それもそのはず。
ケイジくんが、私に向かって伸びたその腕の手首を、がっちりと掴んでいた。
低い声は迫力ありすぎて、その眼差しも、さっきまでの優しいケイジくんの面影なんてちっとも感じさせない、冷淡なものだった。
“どうやらテメーの目は、腐ってるみてえだな。くり抜いてカラスのエサにでもしちまうか”
“オオ、それええやん。さんせー”
威圧感たっぷりに、ニィっと笑うハイジとケイジくん。
見事なまでに、同じ表情。
さすが双子。
この時ばかりはごくりと唾を飲み込み、二人に魅入っていた。
そして緑と赤のヤンキーに凄まれた学年主任は、すっかり縮こまって怖じ気づき、それ以上何か言ってくることはなかった。
あの時とは、違う。
私は、一人じゃない。
たった一人で戦ってるんじゃない。
仲間がいる。
支えてくれる人がいる。
それがこんなにも心強いんだって、教えてくれたのは彼らだった。
結局、興奮冷めやらない生徒達を形だけ教室に押し込めたところで、根本的な解決にはならなかった。
昼休みが終わっても、白鷹ファミリー見たさに教室を抜け出す生徒は後を絶たなかった。
そんな騒ぎも気にせず、まるで関係ない顔で、ハイジとケイジくんは歩き出してその場を離れた。
教室に帰ろうか。
でも、この格好じゃ……。
どうすればいいのかわからず突っ立っている私に、
“何してんだ、来いよ”
ハイジたちと同じく去ろうとしたジローさんが、当然のように招いてくれた。
本当は……今は自分の教室に帰りたくなかったから。
私が、迷わなくて済むように。
“……はい!”
呼んでくれたんだ。


