気まぐれヒーロー2




どうして、こうまでされなきゃ……気づけなかったの?


ハイジも、自分を抑えつけてじっと耐えていたこと。

余裕ぶってみせたって、ふざけて笑ってみせたって。

苛立ちにくすぶる炎が爆発しないように……懸命に堪えていたことに。

短気ですぐ手が出て、腕力で解決させちゃうようなヤツなのに。

そんなハイジが、暴力じゃなくてバスケで、スポーツで、立ち向かおうとしてくれた。


それがどういう意味を持つか──どうしてわからなかったの?


私が人を痛めつけることを嫌うのを、ハイジは知ってるから。

だから……



“ケリつけようぜ、バスケで”



私のためを思って、そう言ってくれたのに。



「理由がいる?」



ハイジの視線から逃れて、顔を背けるしかできなかった私に、少し控えめな声がかけられた。

その声に、ぎこちなく目を上げていくと。



「ももちゃんのヒーローは、誰?」



穏やかに微笑む、ケイジくんがいた。


彼の瞳を見つめていると、まるで木漏れ日に包まれているような気持ちになる。

緊張が、自然と溶けていく。



「……カラフルで、ド派手でおバカなヤンキーレンジャー」



なんだか泣きそうになって、私はケイジくんに導かれるまま答えていた。


かなり適切な回答だと思ったのに、


「うむ、まったく俺以外おバカばっかで困る」
と、一番おバカなハイジが嘆き、


「お前のヒーローは俺だけだろーが」
なんて逆ギレ気味なジローさんのセリフにさえ、メロメロになっている私に。



「それが理由じゃ、あかん?」



とびきり優しい笑顔を、ケイジくんは見せてくれた。


そして、絡まっていた糸が今、すっと解けた気がした。


彼らが、こんな盛大なヒーロー大集合の演出をしてくれたのも。

何もかも、全部……



“みんなは私のヒーローなんだよ”



私が昨日、そう言ったから。

こみ上げてくる熱い想いが胸に収まりきらなくて、

もう何も、言えなかった。


今の気持ちを言葉にしてしまえば、壊れてしまいそう。


だから私は、ケイジくんに潤む瞳のまま、

精一杯の笑顔で、『ありがとう』を伝えた。