ジローさん……試合に出るの!?
あのジローさんが!?
大丈夫なの!?機敏に動けるの!?ちゃんとチームプレイできるの!?
……でも
お兄ちゃんがよく話してくれた“ニタローくん”は、バスケが上手い男の子だった。
その“ニタローくん”がジローさんなら……。
私は隣にいるジローさんをそっと、見上げた。
……今は、ウルトラマンだけど。
「ジローか、ジローに用があるんだな。そうか、じゃあ俺が伝えといてやるよ、“白鷹次郎”に」
懐かしい想いに浸っていたのに──
ウルトラマンジローの口から出てきたのは、そんなセリフだった。
「!!」
ハイジは衝撃的な顔になった。
「!!」
ケイジくんはお口がひよこみたいになってた。
「!!!」
私はとりあえず二人のマネをしておいた。
そんな私たちを気にも留めず、「俺はウルトラマンだからな。でも白鷹次郎とは知り合いなんだ」とジローさんはやっぱりマイペースだった。
そうだった。この人は完全にウルトラマンになりきっているんだった。
その正体が、周りには思いっきりバレているというのに。
だけど……
“ねー、あの人白鷹先輩じゃないんだって!!よかった~!”
“ウソぉ、じゃあ誰なの?髪の毛銀色に染めちゃうなんて、自殺行為よー!”
“きっと白鷹先輩のファンなんだよ!ウルトラマンの熱狂的マニアなのかも!!”
こそこそ聞こえてきた女の子達の会話に、ひっくり返りそうになった。
いやいやいや、信じちゃうのかよ!!
どう考えてもおかしいだろうよ!!
“バスケだって、バスケ対決!!白鷹先輩と黒羽先輩、それにハイジくん達がだよ!?”
“やだ~、あたし田川くんも憧れなのに~。どっち応援しようかな〜”
“ガチえぐいって!楽しみすぎるんだけど!!”
“聞いたか、一週間後だってよ!!お前どっちに賭ける?”
“フツーに考えたら田川達だろ、アイツすげー上手いよバスケ。けど、白鷹さんとかどれくらいの腕かわかんねーしなぁ……あの人らが負けるのも、想像できねーよ”
“ね、なんで白鷹くんとあの双子くんが一年生とバスケの試合なんかするの?”
“さあ……なんかあのコが原因らしいよ”
“えー……何なのアイツ。全然可愛くないじゃん、地味だし”
“あのコのお兄さんがどうとか言ってたよね?”
す、すごい……。
どこぞのライブ会場だってくらいに、何十、何百という人間の歓声と熱気が渦巻く。
前後左右、四方八方から会話が飛び交って、全部を聞き取るなんて無理。
それでも単語の端々を拾うことはできる。
みんなが一斉に話し出して──
この空間が……ううん、校舎そのものがショーの舞台と化していた。


