後に残された私と双子、ウルトラマンジロー。
そして田川と本城咲妃、その他大勢の生徒たち。
妙な空気がしばらく場を支配していたけれど──
「……茶番はこれくらいにしてくれよ」
呆れ果てたかのようにぽつりと声を発したのは、田川。
「前座は必要だろ?」
答えたハイジはフッと笑って、何ともないように振る舞っているけれど、どこか無理して見える。
先輩二人の失態が、よほどショックだったんだろう。
……一旦、仕切り直して。
ハイジと田川の対峙は退くどころか、さらに熱を帯びていく。両者とも一歩も譲らない。
「ねえ、大輔──」
そんな時、小さく田川の名を呼んだのは、本城咲妃だった。
彼女の魅惑的な眼差しが、隣の田川を上目遣いに捉える。
続けられる言葉はなく、本城咲妃はその目だけで語りかけているように思えた。
そして田川も本城咲妃の意図を汲んだのか、彼女に向ける視線には何らかの含みがあるように私には見えた。
「仕方ないか。言い出したのは君達だし、そうしないと納得しないんだろ。それに……君らみたいな横暴な輩は、一度痛い目見なきゃわからないだろうしね」
受けて立とうというのか──。
田川は鼻につく笑みを浮かべ、勝負の行方が見えているかのような口調でハイジに言い放つ。
握った拳に、自然と力が入っていく。
なんで、こんな……
こんな理不尽を、私達が背負わなければいけないのか。
なぜ、真実を知ってほしいだけなのに、偽りを本当だと通そうとする連中に都合のいい勝負を挑まなきゃいけないのか。
それも、私の代わりにハイジ達が……。
「せいぜい今のうちに、勝利の妄想に酔いしれてろよ。その方が叩きのめした時のダメージもでけえだろうからな」
「君達みたいなのは、どうせ口だけだろ」
「どうだかな。やりゃあわかんだろ。それと……一つ、てめえに言っておく」
ハイジの声が少し低くなる。田川は眉をひそめた。
「俺らが勝ったら、コイツにワビ入れろ。てめえらが言ったこと、やったこと、全部吐いて認めて、謝れ」
一瞬、ハイジの視線が私を捉え、それから田川へと鋭く刺さった。


