気まぐれヒーロー2




「みんなもしかして、花鳥さんを信じる気じゃないよね?あたしと大輔を疑うの?」



他の生徒たちが本城咲妃と田川に不信の目を向け出したことに、彼女自身も焦りを覚えているのかもしれない。

本城咲妃は周囲を見回し、必死に潔白を主張し続けた。



「考えてもみてよ!この人達は暴力で人を脅したり、物を盗んだり、ドラッグにだって手出してるんだよ!ヤクザと関わりがあるって、みんな聞いたことあるでしょ?そんな人達と一緒にいる花鳥さんを、信じられるの?」

「そうだよ、みんな見てただろ?花鳥さんが僕を突き飛ばして、馬乗りになったところを!」



本城咲妃が必死にまくし立てるのは、あることないこと──それは単なる“噂”の域を出ないこと。

ほんの数分前までは、彼女と田川の言葉にみんな大人しく従っていたはずだ。


けれど、
今度は彼女の思い通りにはいかなかった。



「コイツはウソつかねえんだよ」



ハイジが、私を守ろうとしてくれてる。


ここにいる全員に、真実を伝えようとしてくれている。

みんなの本城咲妃を見る目には、明らかな“疑い”が宿っていた。


だからといって、私を信じてくれているわけでもない。


正しいのは、どっちか。


みんな、それを見極めようとしている。
だからこそ、迷いも見て取れた。


少しずつ──変わり始めた世界。

絶対に崩れないと思っていた、本城咲妃たちの牙城が揺らぎはじめている。



「計算が狂ったか?」



厳しい顔つきの本城咲妃と田川に、
挑戦的に鼻で笑いながら、ハイジが言った。



「このままじゃラチがあかねえよなぁ。白黒つけてえだろ?」



ゆっくりと──

逃がさないように、ハイジはヤツらを追い詰めていく。



「優等生くん。アンタ、バスケ部のエースなんだってな」



まるで罠を仕掛けるが如く、

ハイジは田川に、自信に満ちた口調で投げ掛けた。



「……だったら何だっていうんだよ」



そんなハイジに呑まれまいと、田川も毅然と返す。

あくまで、王子の仮面を被ったまま。




「なら、決着つけようぜ──バスケで」




この機会を、

この瞬間を、

待っていたと言わんばかりに。


ハイジの声が一層、強まった。