私、無理してたんだ。
とっくに限界がきてたのに、気づかないフリしてただけだったんだ。
強くなりたかった。
自分で、戦いを終わらせたかった。
けれど……一人で背負いきれないのなら、頼ることも“強さ”なんだって。
そう教えてくれたのは、彼らだった。
頼り方もわからない不器用な私を、無理なく頼れるように導いてくれたのは、ハイジだったんだ。
「あーあ、ええとこ持ってかれた~」
わざとらしく拗ねてみせるのは、ケイジくん。
「すげーな光合成パワー!!マジでハイジか、アイツ。まりもっこりのもっこり度がハンパじゃねーぞ!ジロー、どーすんだオメー。ヒーローの座を奪われちまうぞ~」
私の背後で、相変わらずうるさいタイガーマスク。
「いーんだ、タマが俺のってことに変わりはねえ」
またもやウルトラマンなジローさんが、ぎゅってしてくるから。
今さっきは緊張と恐怖でドキドキだったのに、今度は恥ずかしさで胸がうるさい。
私の心臓くんは大忙しだ。
「けどよォ……久々だ。こんなアタマにくんのはよ」
ジローさんに捕らえられて、あわあわする私の横で……タイガがぼそっと漏らした。
その声色には、遊びの色なんてちっとも含まれてはいない。
少し怒りを滲ませた、本気の声だった。
「黒羽、ヘタな真似すんじゃねえぞ。お前が手ェ出したら、アイツらの努力がパーになっちまうからな」
そして、不穏な空気に巻かれるタイガをなだめるのは、最年長のバルタンさん。
「わーってるよ。んなセミみてーなツラしてカッコつけたって、まったくカッコよかねーぞ。ひーちゃん」
「お前がこんなわけわからんセミにさせてんだろーが!!つーか俺の名前を呼ぶな、頼むから」
バルタン飛野さんはよっぽど自分の正体がバレるのが嫌みたいで、タイガが『ひーちゃん』と口にする度にハラハラしているようだった。
“ねえ、何がどうなってんの?あたしが聞いたの、花鳥さんが咲妃ちゃんと田川くんの仲を裂こうとしたっていう話なんだけど”
“いや、俺もそうだけど……”
“でも今花鳥さんが言ったこと、全然違くない!?”
“うっそだぁ、田川くん達がそんなコト言うわけないよ”
“けど、さぁ……さっきの花鳥さん、ウソついてるようにも見えなかった……かも……”
“え、じゃあ──”
マイペースなジローさん達とは別に、淀み始めたのは周囲の生徒達だった。
私の全身全霊の叫びが届いたのかどうかはわからないけれど、
それでも彼らに、確かな変化が生まれたのは事実だった。
微かな亀裂が、広がり始めていた。


