「誰も信じてくれなかった……!私の言葉を聞こうともしてくれなかった……!!違うのに……私、何にもしてないのに……!!」
蘇るのは、クラスメイトの眼差し。
最初から疑う目。からかうような口調。
嘘つきだと決めつける態度。
クラスメイトだけじゃない。
一年全員が、そうだった。
小春だけだったんだ。
私の傍にいてくれたのは。
「なら、今ここで話せ」
静まり返った中で、ただ一人応えてくれたのはハイジだった。
戸惑いながらも、顔を上げる。
「コイツらはお前に、何を言った」
ハイジが指す“コイツら”は、本城咲妃と田川大輔。
あの時、この二人が軽々しく言い放った言葉こそが──始まりだった。
全ての、元凶。
だけど、あの胸をえぐる感覚を思い出したくもなくて、口にするのも嫌で仕方なくて。
ハイジたち本人を前にして、生まれるのは躊躇いばかりだった。
途端に、口ごもってしまう。
視線もハイジから外れて、あてもなく彷徨う。
言わなきゃ。
今ここで。
あんなに“真実”を、みんなに知ってほしかったはずなのに。
伝えられるのは、今しかないのに。
それでも、私は、意気地がない。
まごついて、どうやってこの場をやり過ごそうか──そんなことばかり考えていた。
その時だった。
「言え!!!」
突如、廊下中に、張り裂けんばかりの怒声が轟いた。
肩がビクッと跳ねる。
心臓が破れるかと、思った。
それはジローさんたちを除く全員を、震撼させる。
獣が吠えるような怒号が、静寂を切り裂いた。
考えるまでもなく、肌で感じる。
腰を抜かしそうになるほどの威圧感。
一切迷いや甘えを許さない、空気。
それを作り出すのは、目の前の緑髪の男。


