気まぐれヒーロー2



「しょーもねえことはぎゃあぎゃあ騒ぐくせに、変なとこで隠したがるんだお前は。弱っちいくせによ」



呪いをかけるべく、緑の背中へぶつぶつと怨念を飛ばしていると。

ハイジがそんなことを言うから、憎たらしさも忘れて思わずヤツを見上げてしまった。



「言えよ」



ぼそっと一言、落とすんだ。


まりもっこりのくせに。カルピス教信者のくせに。


ハイジの、くせに。


わかってる。

言いたいこと、ちゃんとわかってる。



「ムリないわな。抱え込むタイプやもんな、ももちゃん。それに、まだそこまでの仲やないし」



まるで、私の心の内なんて全てお見通しだというように、ケイジくんが朗らかに笑う。


全部、わかってる。

だって、自分のことだもん。


抱え込むことも、一人で何とかできるならそうしたいのも。


そして、ケイジくんの言う通り。

まだ出会って間もない彼らに、私は完全には心を開けてない。
晒せないことがあるのも、ちゃんとわかってる。


嫌になる。こんな自分が。


“弱っちいくせに”


そうだ。
弱いよ、私。


弱いくせに、守りたいって思う。

大切な人たちを。


ちっぽけなのに、強がってる。

彼らの前じゃ、私の“強さ”なんて──たかが知れてるっていうのに。



「お前は、優等生くんのストーカーなんだな」

「……は?」



ハイジが田川をその目に映しながら、私に愛想の欠片もない低い声で言った。

一瞬、頭の中が空っぽになる。

聞き間違いだと思った。


だけど──



「嫉妬したってわけだ、優等生くんとその女に」

「なに、言ってんの……?」



ハイジは淡々と、言葉を畳みかけてくる。

愕然とする私を、振り返りもせず。


動転して、言葉が出てこない。


さっきまで、ハイジは真相を話していたはずなのに。


なんで、そんなこと言うの?


私が苦しめられてきた、嘘で塗り固められた“事実”を──。



「こっぴどくフラれたもんなぁ」

「やめてよ……」

「ヤケクソになって、強引にでも手に入れたくなったか」

「……やめてってば」

「無理やり奪おうなんて、真面目ぶってるわりにゃやることはダイタンじゃねーの。人は見かけによらねーってな。こえーこえー」

「やめてって言ってんでしょ!!!」



簡単だった。


抑えていたもの、溜め込んでいたもの

それらを解き放つことなんて。


気づいてなかったんだ。

自分の中が、こんなにもどろどろでいっぱいになってたこと。

無理してたこと。


止められなかった。

ハイジの襟元に掴みかかる両手を。