「アンタら、一年の間じゃ有名なんやなぁ。ぜんっぜん知らんかったわ」
へらりとケイジくんが笑う。
その視線の先には、鉄壁の二人が立っていた。
偽物の王子と、冷たい美しさを備えた女王さま。
「あたしは知ってるわ。風切慧次、灰次……アンタ達の方がよっぽど有名じゃない。悪い噂でね」
「へー。そりゃどーも」
ケイジくんのへらり顔に対して、本城咲妃は片方の口角だけを上げて、くすりと笑う。
そんな彼女に、ケイジくんはあっけらかんと答えていた。
「光栄やなぁ、こんなべっぴんさんに知ってもらってるなんて。なあ、ハイジ」
「どこが。ドブスだろ。性格の悪さが顔に出て、歪みまくってんじゃねーか」
な……なんて男だ、風切灰次!
ブスの前に『ド』をつけちゃうとは!!
しかも美人相手に!!
「まるであたし達が脅してるみたいな言い方だけど……それは、そっちでしょ?汚いのはどっち?」
だけど、そこはさすがというべきか。
本城咲妃はちっとも気にせず、攻撃の手を休めない。
「まあな、そう言われると否定はできん。けどそれは、“俺ら”の話や」
私はただ突っ立って傍観するしかなく、目の前で本城咲妃と渡り合うケイジくんは、まだまだ余裕で本気には見えない。
いいのかな。
騒動の当事者は私のはずなのに。
彼らに任せっきりで、ぼーっと眺めているだけで。
守られているだけで……。
「このコは、真っ白やろが」
ケイジくん──
頼れって、言ってくれたから?
一人でどうにもならないなら、頼ればいいって。
「パンツもな」
ハイジ……
殺す。


