気まぐれヒーロー2




「あれから、調べとったんよ」



ちんぷんかんぷんな金と銀コンビに、疲労のため息をついていると──



「ももちゃん、俺らはもう全部知っとる」



静かで、それなのに鋭く切り込む声が鼓膜を刺した。
その瞬間、思考が止まる。

ハイジと同じように私に背を向けたまま、“彼”は燃える赤と共に立つ。


ケイジくんって、キツネみたい。

人を惑わせるのに長けている。

おちゃらけたかと思えば、急に凍てついた目をする。
冗談みたいに言った言葉が、時々胸を突く。

化けてるのか、化かされてるのか。

掴もうとしても、指のあいだからこぼれ落ちていくような人。


そして、また──私に揺さぶりをかけてくる。



「調べた、って……?」



ビクビクしてる自分がいる。
彼に問いかける声だって、なんて細いんだろう。


何を知ってるの……?

沈黙したままのケイジくんの背中が、空気を重くしていく。



「また、俺らといることで絡まれとるだけやって。何の疑いもなく、そう思っとった。けど──ちゃうんやな」



その声音は私みたいに、揺れてなんかない。


落ち着いているけれど、強く、まっすぐに伝わってくる。



「俺らの“せい”やなくて、俺らの“ため”やったんやな」



ケイジくんはゆっくりと、振り返る。

目が合った瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。


その瞳が、泣きたくなるくらい優しかったから。
穏やかで、温かかったから。


やっぱりこの人は、底が知れない。

敵わない。


私が言わなくたって、全部見透かしてしまう。



「全員が、コイツらの言うことを信じてるわけやない。なかにはちゃんと、何が正しいか知ってるヤツもおる。ももちゃんの“声”を聞いとった人間もな。言い出せへんだけや、コイツらの妙な権力のせいで」



どうやって調べたのかなんて、もう愚問なのかもしれない。

ケイジくんは──いや、彼らは、常に恐ろしいほどの情報網を持ってる。
どこでどう繋がってるのかなんて、私にはわからないけど。


それでも、彼の言葉で気づいたことがいくつもあった。


ずっと、孤独だと思ってた。


みんなが本城咲妃と田川の言葉を鵜呑みにして、私の話なんて誰も聞いてくれないって。


小春だけが、私を信じてくれていた。

それでいい。

そう思ってたのに──


他にも、いたの……?


“あの時”、私の叫びを耳にした人がいたの……?