気まぐれヒーロー2




見事に脳天に命中した衝撃で、ちょっとだけ前のめりになるまりもっこり。

ごんっ、と小気味良い音が響いた。



「何すんだテメーは!!ぶち殺すぞコラ!!アァ!?」

「イヤやな~ジョークやん、ジョーク。ちょっとしたスキンシップやんか」

「テメーのジョークにいちいち付き合ってたら体もたねーよ!!」

「んなヤワやないやろ」



沸点越えちゃったらしいハイジは、額に青筋浮かべてケイジくんの胸ぐらを掴んでいた。

ハイジとは対照的に、ヘラヘラ笑っているケイジくん。


同じ顔でも、正反対。

冗談でゴミ箱で人の頭殴っちゃうケイジくんも、ケイジくんだけど。


「またお前が“とんで”るんやないかって、思っただけや」


おどけた声も表情もすっと引っ込め、ケイジくんは神妙な目でハイジを見た。

そのセリフだけは、冗談ではないと感じた。



「……バカ言え、正気だ」



探るような彼の視線に、ハイジも少し冷静さを取り戻す。

ケイジくんから手を離し、顔を背けて小さく吐き捨てた。

ケイジくんの言葉の意味も、ハイジの返しも──
私にはどちらも理解できなかった。

けれど、その一言でハイジの激情が鎮火したことだけは確かだった。


そして……二人の間に漂う、妙な空気。


私はこれまで何度か、こういう二人を見たことがある。

ただの仲良し兄弟、ってだけじゃない。


ううん、むしろ“仲が良さそうに見せかけてる”だけなんじゃないかと思う時さえある。


ハイジとケイジくんの間には、私には到底わかりっこない、深く埋めようのない溝があるのかもしれない。



「ったくよー、ゴミばら撒いてんじゃねーぞミドリンよー。オメー、これが地球のカンキョー汚染の第一歩になんだよ」

「タマ、ゴミ漁るなよ」



人が真剣に考えてるってのに、タイガーマスクとウルトラマンジローは、心底どうでもいいことを口にしていた。

そんなんより双子を気にかけろよ、って思った。


しかもタイガーマスクは隣のバルタンさんに、


“なーなー、俺今イイこと言っただろ?地球を心配する男をアピールしたんだ”


こそっと耳打ちしていた。

全然してやってないのに、“してやったり”みたいな顔で。


バルタンさんは完全スルーで、無言を貫いていた。