見事に脳天に命中した衝撃で、ちょっとだけ前のめりになるまりもっこり。
ごんっ、と小気味良い音が響いた。
「何すんだテメーは!!ぶち殺すぞコラ!!アァ!?」
「イヤやな~ジョークやん、ジョーク。ちょっとしたスキンシップやんか」
「テメーのジョークにいちいち付き合ってたら体もたねーよ!!」
「んなヤワやないやろ」
沸点越えちゃったらしいハイジは、額に青筋浮かべてケイジくんの胸ぐらを掴んでいた。
ハイジとは対照的に、ヘラヘラ笑っているケイジくん。
同じ顔でも、正反対。
冗談でゴミ箱で人の頭殴っちゃうケイジくんも、ケイジくんだけど。
「またお前が“とんで”るんやないかって、思っただけや」
おどけた声も表情もすっと引っ込め、ケイジくんは神妙な目でハイジを見た。
そのセリフだけは、冗談ではないと感じた。
「……バカ言え、正気だ」
探るような彼の視線に、ハイジも少し冷静さを取り戻す。
ケイジくんから手を離し、顔を背けて小さく吐き捨てた。
ケイジくんの言葉の意味も、ハイジの返しも──
私にはどちらも理解できなかった。
けれど、その一言でハイジの激情が鎮火したことだけは確かだった。
そして……二人の間に漂う、妙な空気。
私はこれまで何度か、こういう二人を見たことがある。
ただの仲良し兄弟、ってだけじゃない。
ううん、むしろ“仲が良さそうに見せかけてる”だけなんじゃないかと思う時さえある。
ハイジとケイジくんの間には、私には到底わかりっこない、深く埋めようのない溝があるのかもしれない。
「ったくよー、ゴミばら撒いてんじゃねーぞミドリンよー。オメー、これが地球のカンキョー汚染の第一歩になんだよ」
「タマ、ゴミ漁るなよ」
人が真剣に考えてるってのに、タイガーマスクとウルトラマンジローは、心底どうでもいいことを口にしていた。
そんなんより双子を気にかけろよ、って思った。
しかもタイガーマスクは隣のバルタンさんに、
“なーなー、俺今イイこと言っただろ?地球を心配する男をアピールしたんだ”
こそっと耳打ちしていた。
全然してやってないのに、“してやったり”みたいな顔で。
バルタンさんは完全スルーで、無言を貫いていた。


