気まぐれヒーロー2




みんなもきっと、次はどんなヒーローが出てくるのか待ち構えていたはずだ。

でも、颯爽と現れた飛野さんは──思い切り悪役だった。

その場にいた全員が呆然と、顔だけバルタンの飛野さんを凝視していた。



「お~い、ば~るた~ん」



誰もが戸惑いを隠せず、妙な空気に呑まれているっていうのに。

とんでもなく無邪気に、楽しそうにバルタン星人に声をかけたのは、タイガーマスクだった。

ヤツは遠くにいるバルタン星人に大きく手を振り、「こっちだよ~」と爽やかに呼び寄せていた。


うん。めちゃくちゃ怪しいよ。怪しすぎだよ。

だってタイガだよ。
あの、イタズラ好きの金髪デビルだよ。

この態度は、絶対何か企んでる。

しかも、相手は飛野さんだし。
いつも金髪のイタズラの標的にされる、あの飛野さんなんだよ。


けれど、怪しみつつもどうしたらいいのか、飛野さんもわからなかったんだろう。

彼はタイガーマスクに言われるまま、こっちへ歩いてきた。

セミをモチーフにした怪獣、バルタン星人のお面をつけたまま。


「なー、バルサン星人ってアレだな、なんか虫に強そうなヤツだな。こう、殺虫剤とか口から出したりすんのかな」


そんな耳を疑うようなセリフを口にしたのは、ミドリン星人のハイジだった。


何言ってんだてめーは!!知らねーのかバルタン星人をよォ!!勝手にダニとかノミとか蚊とかを退治してくれる、ありがたい怪獣にしてんじゃねーよ!!便利だろーが!!うちにも来てほしいわ!!


と、胸の内でヤツに毒づいておいた。


それなのに、ハイジだけでは終わらなかった。


「アホやな~お前は。なんも知らんねんな~。バルたんやん、バルたん。萌え系の怪獣やん。今流行りやねんで」


そう……ハイジの相方、ケイジくんまでもがさらりと言ってくれやがったのだ。


いやいや、バルたんて!!
そんな、しょ○たんじゃないんだから!!

そーいうノリじゃないでしょーよ!!
いや、なんか可愛いけどさ!?


しかも流行ってんの!?

萌え系怪獣『バルたんっ☆』とか、聞いたことないけど!!!



毎度のことながら、ツッコむのに疲れる。

この人たち、ツッコミどころが満載すぎる。

本気なのかボケなのか、区別できないとこも余計疲れる。

ケイジくんにまでボケられたら、私……ツッコミ疲れで過労死するかもしれない。