みんなもきっと、次はどんなヒーローが出てくるのか待ち構えていたはずだ。
でも、颯爽と現れた飛野さんは──思い切り悪役だった。
その場にいた全員が呆然と、顔だけバルタンの飛野さんを凝視していた。
「お~い、ば~るた~ん」
誰もが戸惑いを隠せず、妙な空気に呑まれているっていうのに。
とんでもなく無邪気に、楽しそうにバルタン星人に声をかけたのは、タイガーマスクだった。
ヤツは遠くにいるバルタン星人に大きく手を振り、「こっちだよ~」と爽やかに呼び寄せていた。
うん。めちゃくちゃ怪しいよ。怪しすぎだよ。
だってタイガだよ。
あの、イタズラ好きの金髪デビルだよ。
この態度は、絶対何か企んでる。
しかも、相手は飛野さんだし。
いつも金髪のイタズラの標的にされる、あの飛野さんなんだよ。
けれど、怪しみつつもどうしたらいいのか、飛野さんもわからなかったんだろう。
彼はタイガーマスクに言われるまま、こっちへ歩いてきた。
セミをモチーフにした怪獣、バルタン星人のお面をつけたまま。
「なー、バルサン星人ってアレだな、なんか虫に強そうなヤツだな。こう、殺虫剤とか口から出したりすんのかな」
そんな耳を疑うようなセリフを口にしたのは、ミドリン星人のハイジだった。
何言ってんだてめーは!!知らねーのかバルタン星人をよォ!!勝手にダニとかノミとか蚊とかを退治してくれる、ありがたい怪獣にしてんじゃねーよ!!便利だろーが!!うちにも来てほしいわ!!
と、胸の内でヤツに毒づいておいた。
それなのに、ハイジだけでは終わらなかった。
「アホやな~お前は。なんも知らんねんな~。バルたんやん、バルたん。萌え系の怪獣やん。今流行りやねんで」
そう……ハイジの相方、ケイジくんまでもがさらりと言ってくれやがったのだ。
いやいや、バルたんて!!
そんな、しょ○たんじゃないんだから!!
そーいうノリじゃないでしょーよ!!
いや、なんか可愛いけどさ!?
しかも流行ってんの!?
萌え系怪獣『バルたんっ☆』とか、聞いたことないけど!!!
毎度のことながら、ツッコむのに疲れる。
この人たち、ツッコミどころが満載すぎる。
本気なのかボケなのか、区別できないとこも余計疲れる。
ケイジくんにまでボケられたら、私……ツッコミ疲れで過労死するかもしれない。


