気まぐれヒーロー2



いや、でも!私の思い過ごしかもしれないじゃないか!!

そうとは限らないじゃんか!!

まさか“あの人”まで、なんちゃってヒーローズに加わったりするはずが……


「お、きたきた」


タイガがやけに弾んだ声で、廊下の端にある階段を見やった。


下の階から、バタバタと忙しなく足音が響いてくる。

一年の階へ駆け上がってきているのは、間違いない。


私は緊張で口の中がカラカラになりながら、生唾を飲み込み、やってくる人物をただ待った。



まさか……いや、まさか。


そんなはずない!


誠実で男気があって、硬派で、純情で、日本男児で、しかも料理人なあの人が──まさかそんなことは……!!


と、“あの人”を危ぶむ私の視線の先、ずっと向こうで。


階段をダッシュで昇ってきた一人の男子生徒が、勢いそのままに廊下へ飛び出してきた。



「オイ、これ本当にヒーローか!?どう見てもこれ、……これ、なあ、やられる側の顔だろこれは!!──あっ」



時が止まった。



なんてことだ。

なんてことなんだ。


当たっちまったよ……。



飛野さん──いや、ひーちゃんよ……。


そりゃヒーローじゃないよ。


そのお面は、ヒーローであるウルトラマンにやられちゃう怪獣代表格の、



バルタン星人じゃあねえか!!!



気味悪いほど静まり返った廊下。


ぽつんと離れた場所に立つ、飛野さん……いや、バルタン星人。

彼は顔につけたお面を指差したまま、彫像みたいに固まっていた。


不信感むき出しの無数の視線を、一身に浴びながら。


私も、声が出なかった。
──いや、出せなかった。


なんて声をかけたらいいのか、思いつかなかった。