「てめえ……俺が舐める前に舐めやがって。ナメてんのか」
「いや、ちょ、ちょっと待った!あんたをナメたつもりはねえ!!舐めたのはコイツだ、ももだよ!!」
「それがムカつくっつってんだよ」
「違うんだ、俺もなんで舐めたのか自分でもわかんねえ!!コイツがほっぺたにキャベツなんかくっつけてっから、つい舐めちまっただけだ!」
「理由なんかどーだっていいんだよ、俺の許可なしに舐めんじゃねーよ」
「んなコト言ったってよ、アンタぜってー許可なんか出さねえだろ!!」
「ったりめーだ、バカヤローが!」
「じゃー最初から言うなよ!!」
「うっせー、このミドリンが」
「なんだそりゃ!?」
そうしてウルトラマンジローによってミドリン星人にされたハイジは、怒りの鉄拳を食らい、見事にボコボコにされていた。
廊下に群がっていた人たちのざわめきもすっかり消え、悲鳴が上がるどころか、全員がドン引きしていた。
ジローさんは容赦なく、ミドリン星人ハイジを叩きのめしている。
とりあえず、本城咲妃からターゲットがハイジに変わったことで、私は胸を撫で下ろした。
そんな中、しんとする空気を突き破ったのは──突然鳴り響いた着信音だった。
「オー、今どこ。あ?あー、そこ曲がってまっすぐ行って。そう、んで突き当たりの部屋入って」
騒音の正体は、タイガーマスクのスマホだった。
電話に出ると、ヤツは誰かに道案内をしているようだった。
「え?なに?生活指導室だった?ごめ~ん間違えちゃった~。も~、タイちゃんったら慌てん坊☆きゃ~そんなに怒っちゃイヤ!──ん?沢北に追いかけられてる?ぎゃははは!!上手くマいてこいよ、左曲がってすぐの階段上がったとこだよ」
これは……状況が把握できないけど。
でも、な~んかイヤな予感がする。
明らかにわざと道を間違えさせて、相手を生活指導室に行かせたっぽいし。
そんで鬼教師として有名な沢北先生とその人が、鬼ごっこするように仕向けたっぽいし。
そして──その電話の相手。
タイガに電話をかけてきたのは、きっと……。
うっすら、見当がつく気がする。
だって、迷ってるみたいだったし。
迷うっていったら……
“あの人”しかいないし……!!


