頬を滑る熱い雫が、一滴落ちて、ジローさんの手を濡らした。
「泣くなよ。笑ってろよ、お前は」
私を抱く彼の腕が、ほんの少しだけ強くなる。
ジローさん……素敵すぎて、さっきからドキドキが止まらないんです。
『好き』が大きくなりすぎて、自分でもどうにもできなくなってる。
一目でも彼の顔が見たくて、ちらりと仰いでみたけれど──
果てしなくカッコよくて。
涙が出るほど胸に刺さる言葉をくれたのに。
見上げたその顔は、ウルトラマン……。
ウルトラマンジローもいいけど、ジローさんの顔、ちゃんと見たいな。
でもお面取ってくれそうにないしな……。
「タマ、もう心配いらねえぞ。あの怪獣は俺が倒してやるからな」
……ん?怪獣?
「イジめられてんだろ、アイツに。いくらメスでも手加減しねえ」
「メス……」
頭の中がクエスチョンマークで埋まっていく私をよそに、ウルトラマンジローは得意げに指をポキポキ鳴らしている。
「安心しろ。俺には“八つ裂き光輪”って技がある」
なんつー物騒な技だよ!!
って、そうじゃなくて。
ようやく合点がいった。
おかしいと思ってたんだ。
だって、ジローさんなのに。
あの、超絶女嫌いのジローさんなのに……!
本城咲妃と普通に話せていることに、すごく違和感があると思ったら……そーいうことだったのかっ!!
ジローさん!
アレですね、この前の小春の『キューティーバニー事件』と同じ仕組みだったんですね!!
今日はウルトラマンだし。
ウルトラマンフィルターを通せば、本城咲妃はメスの怪獣に見えちゃってたんですね……!!
そりゃ強気にもなるわけだ!!
恐るべし、ジローフィルター……!
「いけませんよジローさん、女の子に手を上げちゃ!!」
「許せタマ。俺だってメスとやり合いたくはねえ。けどよ、怪獣なんだから仕方ねえんだ。倒すのがウルトラマンの宿命だ。大丈夫だ、怪獣ってのはジョーブにできてる」
どんな理屈だオイ。


