気まぐれヒーロー2




「やってねーんだろ、お前」


次にジローさんが発したその言葉が、自分へのものだってことも、すぐにわかった。


「はい」


だから私は、ためらうことなく、しっかりと頷いた。


私は間違ってない。

やっていないことは、やっていない。

何も、臆することなんてない。


きっとジローさんは、私と本城咲妃たちとの間に何があったかなんて、知らないはず。


それでも──



“やってねーんだろ”



私を信じてくれている。


どれだけ多くの人が『悪いのは私の方だ』と声を揃えても、ジローさんは迷いなく信じてくれていたんだ。


それだけで、泣きそうになる。

胸が熱くなる。



「じゃあ、いーじゃねえか。やってねーんだ。お前がそう言うんだから、間違いねえよ」



私、好きになったのがジローさんで良かった。

心の底から、そう思う。


ちょっと変で、犬が好きで、歩きながら寝ちゃうような人でも。
女の子が苦手で、おじいちゃんみたいで、ウルトラマンが大好きで、どこか宇宙人みたいでも。

大きい心と、絶対的な強さと、安心させてくれる優しさを持ってる。



「あたしが嘘ついてるって言いたいんですか?冗談じゃないわ、なんなら一年の学年主任に聞いて──」
「うるせえ」



尚も食い下がる本城咲妃の主張を、ジローさんはぶっきらぼうに遮った。




「俺は、コイツにこんな暗ェ顔させることが許せねえって言ってんだよ。笑ったらすげえ可愛いんだよ、コイツは。その笑顔を奪うような真似すんじゃねえよ!!」




いつもよりもずっと大きい声で、そう──叫んだんだ。


ジローさんが。

あの、ジローさんが。

私のために。



ダメだ。泣いちゃダメ。

ちゃんと、前を見てなきゃ。下じゃなく、前を。


なのに、どうして視界がぼやけるんだろう。


言葉に、できない。

胸がいっぱいで、抑えきれない。


抱え込んだ想いが、はち切れそうで……どうすればいい?

どうしたら、いいの?


ジローさんの力強い腕に包まれて、私は安らぎを感じていた。


彼は、私のヒーロー。

私だけの。


嬉しくてたまらない。

彼の存在は、こんなにも心強い。