気まぐれヒーロー2




「あたしからすれば、あんた達全員同類にしか見えないんだけど。何も考えてない、すっからかんな人間じゃない」



そうだ、笑ってる場合じゃない。
うっとりとしてるジローさんを、眺めてる場合でもなかった。


本城咲妃は、その強気な姿勢を崩すことなく、私たちに真正面から挑みかかる。


好きじゃないし、正直、嫌いだと思う。
でも──ここまで貫かれると、逆に感心してしまいそうになる。

この人もまた、形は違っても、屈しない強固な精神を持ってる。


本城咲妃をここまで突き動かしているものは、いったい何なんだろう。


私が気に食わない。
ただそれだけじゃない気がした。


みんなが避けて通る白鷹次郎や黒羽大駕を前にしても、彼女は一歩も退かない。

それどころか、声や目の奥に滲むのは、あからさまな敵意と……別の感情。

いったいこの人は、何を抱えているんだろう。



「んだよ、俺が言ったこと聞こえなかったァ?コイツよか俺の方が、抱かれてえって思うだろ?」



そして場違いなセリフと軽すぎるノリで私の頭を悩ませるのは、エロ虎。

どんな状況でもマイペースなこの男にも、ある意味感心する。



「やめてよ、興味ないから。どっちも代わり映えしないじゃない」



タイガーマスクの軽口を、本城咲妃はばっさり切り捨てた。


「え、俺に興味ねーの?」

「しつこいわね……ないって言ってるでしょ」

「強がんなよ、素直に認めるべきだぜここは」

「あたしに話しかけないで」

「ははーんなるほどな。なかなかやるな、ねーちゃん。ジラしテクか。弱ェんだよな~男は。ジラされるとヨッキュー不満が先走っちまうっつーかよ」

「鬱陶しいな」

「うっと……いや、違う。断じて違う!俺がうっとーしいワケがねえ、この俺が。そうか、ねーちゃんアレか。ツンデレってヤツだろ!あー、でもなー、俺そーいうのあんま好みじゃねえっつーかさァ……やっぱ女は色気振りまいて甘えてきてくれる方が、こっちもヤル気MAX──」

「クロちゃん、もうやめときって」



一人の女とサカった虎の終わりなき口撃戦は、冷静なケイジくんの一声によって幕を閉じた。



「……ま、ガキに大人の俺の魅力をわかれっつー方が無理な話だよな」



そんな大人ぶったセリフを吐き、本城咲妃に背を見せ私達に向き直るタイガーマスク。

かなり痩せ我慢してる感ありありで、無理してんのはあんたじゃないのかいってツッコミたくなった。