「あたしからすれば、あんた達全員同類にしか見えないんだけど。何も考えてない、すっからかんな人間じゃない」
そうだ、笑ってる場合じゃない。
うっとりとしてるジローさんを、眺めてる場合でもなかった。
本城咲妃は、その強気な姿勢を崩すことなく、私たちに真正面から挑みかかる。
好きじゃないし、正直、嫌いだと思う。
でも──ここまで貫かれると、逆に感心してしまいそうになる。
この人もまた、形は違っても、屈しない強固な精神を持ってる。
本城咲妃をここまで突き動かしているものは、いったい何なんだろう。
私が気に食わない。
ただそれだけじゃない気がした。
みんなが避けて通る白鷹次郎や黒羽大駕を前にしても、彼女は一歩も退かない。
それどころか、声や目の奥に滲むのは、あからさまな敵意と……別の感情。
いったいこの人は、何を抱えているんだろう。
「んだよ、俺が言ったこと聞こえなかったァ?コイツよか俺の方が、抱かれてえって思うだろ?」
そして場違いなセリフと軽すぎるノリで私の頭を悩ませるのは、エロ虎。
どんな状況でもマイペースなこの男にも、ある意味感心する。
「やめてよ、興味ないから。どっちも代わり映えしないじゃない」
タイガーマスクの軽口を、本城咲妃はばっさり切り捨てた。
「え、俺に興味ねーの?」
「しつこいわね……ないって言ってるでしょ」
「強がんなよ、素直に認めるべきだぜここは」
「あたしに話しかけないで」
「ははーんなるほどな。なかなかやるな、ねーちゃん。ジラしテクか。弱ェんだよな~男は。ジラされるとヨッキュー不満が先走っちまうっつーかよ」
「鬱陶しいな」
「うっと……いや、違う。断じて違う!俺がうっとーしいワケがねえ、この俺が。そうか、ねーちゃんアレか。ツンデレってヤツだろ!あー、でもなー、俺そーいうのあんま好みじゃねえっつーかさァ……やっぱ女は色気振りまいて甘えてきてくれる方が、こっちもヤル気MAX──」
「クロちゃん、もうやめときって」
一人の女とサカった虎の終わりなき口撃戦は、冷静なケイジくんの一声によって幕を閉じた。
「……ま、ガキに大人の俺の魅力をわかれっつー方が無理な話だよな」
そんな大人ぶったセリフを吐き、本城咲妃に背を見せ私達に向き直るタイガーマスク。
かなり痩せ我慢してる感ありありで、無理してんのはあんたじゃないのかいってツッコミたくなった。


