鈍く光を反射する銀色に、吊り上がったスプーン型の黄色い目。無機質な顔立ち。
その人は、ウルトラマンのお面をつけていた。
顔は隠れてるけど、お面だから後頭部は丸出しで。
サラッと流れる銀髪を見れば、誰だかなんて一目瞭然。
──ジローさんだ。
タイガーマスクを見た後だ。
ほんの少しは耐性がついてたのかむちゃくちゃ動揺こそしなかったものの、疑問だけは積み重なっていった。
これ、何?
コスプレ大会?
今日、ハロウィンだっけ?
ハイジが言ってた“ショックを受ける”って、もしかしてこれ?
ジローさんが、ウルトラマンだったっていう事実?
……はっ!
ジローさん……本当に宇宙人だったんだ!!
──なわけないか。
それにしても、この人たち、何のつもりなんだろう。
どうして、こんなタイミングで出てきてくれたんだろう。
本当に映画のヒーローみたいに、流星の如く現れた彼ら。
……タイガーマスクだとかウルトラマンだとか、統一感ゼロだけど。
「タマ」
ぴょん、と猫みたいに身軽に窓から飛び降りたジローさ──いや、ウルトラマンは、タイガーマスクと私の方へ歩み寄ってきた。
ケイジくんも近づいてきて「えらい光景やな」と、首から上だけはとってもヒーローらしい二人を、まじまじと見ている。
うん。
ケイジくんの言う通り、異様だ。
異様な絵面だ。
かたやタイガーマスク。
かたやウルトラマン。
なんちゅう組み合わせなんだ。
金と銀で、彼らのイメージカラーとしては合っているんだけど。
“ねえ……アレ、もしかして白鷹先輩?”
“うっそー!そんなわけないよ、だって白鷹先輩ってすっごくクールで大人っぽいのに”
“だよねー。それにカッコよくて綺麗で、あんな幼稚なお面なんかつけるような人じゃないよ!”
“でも髪の毛、銀色だもん”
“あのタイガーマスク、黒羽さんなんだろ?だったらそうなんじゃね?”
“なんか俺……あの人達の印象すげえ変わりそう……”
やがて金縛りが解けたように、あちこちで声を潜めながら、生徒たちが顔を寄せ合ってこの摩訶不思議な現状を噂している。
……ふっ、みんな知らないんだね。
ジローさんが実は、人間国宝級の天然だということを──!!


