未だに頭がこんがらがってるのは直らないけれど、タイガ──もといタイガーマスクさんの強引すぎる押しに負けた私は、とりあえず呼んでみることにした。
ヒーローを。
っていうか、絶対に呼ばなきゃいけない空気になってたから、そうせざるを得なかった。
「た、助けて〜!ヒーロー!」
どこに向かって呼べばいいのかも、なんて呼べばいいのかもわからないまま、ひょろひょろした声で適当に叫んでみたら。
「オメーな、ヒーローをまんま『ヒーロー』なんて呼ぶヤツがあるか。それになんだ、その棒読みは。やる気あんのか」
タイガーマスクは呆れたように私を見下ろし、容赦なく責めてくる。
意地悪だ。鬼だ。
恥ずかしいの我慢して呼んだのに。
自分がぐいぐい押して呼ばせたくせに……!
と、いじけていると──
「呼んだか、オイ」
聞こえたのは、
紛れもなくヒーローの声だった。
私がずっと、求めてやまなかった声。
大好きで大好きでどうしようもなくて、夢にまで見た声。
その響きに、全身が一気に熱を帯びた。
私は急いで振り返った。
一目見たくて。会いたくて。
どうしても、会いたくてたまらなかった人。
「ジローさ──」
そう呼ぼうとした。
呼べるはずだった。なんの違和感もなく。
だって、私のヒーローはジローさんだ、って。
期待に胸を膨らませていたから。
そこには、確かに人がいた。
タイガーマスクの登場と同じく、窓のフチにヤンキー座りで、どこからともなく現れた。
けれど、そこにいたのは──
私の大好きなジローさんじゃなく。
ウルトラマンだった。


