気まぐれヒーロー2




未だに頭がこんがらがってるのは直らないけれど、タイガ──もといタイガーマスクさんの強引すぎる押しに負けた私は、とりあえず呼んでみることにした。

ヒーローを。

っていうか、絶対に呼ばなきゃいけない空気になってたから、そうせざるを得なかった。



「た、助けて〜!ヒーロー!」



どこに向かって呼べばいいのかも、なんて呼べばいいのかもわからないまま、ひょろひょろした声で適当に叫んでみたら。



「オメーな、ヒーローをまんま『ヒーロー』なんて呼ぶヤツがあるか。それになんだ、その棒読みは。やる気あんのか」



タイガーマスクは呆れたように私を見下ろし、容赦なく責めてくる。

意地悪だ。鬼だ。


恥ずかしいの我慢して呼んだのに。

自分がぐいぐい押して呼ばせたくせに……!



と、いじけていると──





「呼んだか、オイ」





聞こえたのは、

紛れもなくヒーローの声だった。


私がずっと、求めてやまなかった声。


大好きで大好きでどうしようもなくて、夢にまで見た声。


その響きに、全身が一気に熱を帯びた。

私は急いで振り返った。


一目見たくて。会いたくて。

どうしても、会いたくてたまらなかった人。



「ジローさ──」



そう呼ぼうとした。

呼べるはずだった。なんの違和感もなく。



だって、私のヒーローはジローさんだ、って。
期待に胸を膨らませていたから。


そこには、確かに人がいた。

タイガーマスクの登場と同じく、窓のフチにヤンキー座りで、どこからともなく現れた。


けれど、そこにいたのは──


私の大好きなジローさんじゃなく。




ウルトラマンだった。