「タ、タイガ……だよね?」
だから、恐る恐る尋ねてみた。
颯爽と現れた謎のタイガーマスクさんに。
しばしの沈黙。
張り詰めた空気。
タイガーマスクがじっと私を見下ろしている。
マスクの奥の目を見つめ返しても、何を考えてるのか全然読めない。
息をのみ、手に汗を握って待つ私に──
「タイガーマスクだ」
しれっと、虎頭は答えた。
そして再び沈黙が訪れる。
「…………」
「…………」
………………。
「……え、いや……タイガ、でしょ?」
「タイガーマスクだ」
「いやいや、あの、さ……もういいから。わかってるから」
「タイガーマスクだ」
「うん、かけてるんでしょ。タイガとタイガーを」
いい加減ウザくなってきたから、早く正体吐けよ、と思ったら。
「タイガーマスクだっつってんだろボケが!!何聞いてんだてめえは!!アァ!?その耳は飾りか、二つの穴は何だニセモンか開いてるだけか!!うまい棒突っ込んでガタガタいわしたろかいこのアマ!!あんまナメた口きいてっと、いてまうぞワレコラ!トンチキが!!!」
「ひいいいい!!」
はわわわわ!!
キ、キレたキレた!タイガーマスクがキレた!!
ヒーローにあるまじき暴言を吐いた!!
チンピラだヤクザだゴクドーだ!!!
極悪タイガーマスクに、チビりそうだった。
周りもドン引きどころじゃない。
空気が一瞬で異次元になっていた。
「いったい何なの……?」
眉をひそめ、険しい視線を突きつけてくる本城咲妃。
極悪タイガーマスクは一度彼女に目を向けるも、すぐ私に戻して言った。
「だからピンチなら呼べっつってんだ、ヒーローを」
「へ?よ、呼ぶって?」
「いいから、ヒロインならヒロインらしく助けを求めてみろ。そしたら来てくれるだろうよ、オメーのヒーローが」
わ、わかんない。
この御方、何を言ってるのか、全然わからない……。
でも、来てくれるの?
私のヒーローが……?


