気まぐれヒーロー2




昨日までの私なら、怯んでたかもしれない。

逃げ腰になってたかもしれない。


でも……今は、そうじゃないから。


ハイジやケイジくんの後ろ盾があるからとか、そんなんじゃないんだ。

そんなの、思ったこともなかった。


彼らの強さを、この目で見た。

瞳の奥に焼き付けた。

心の奥に刻み込んだ。


勇気をもらった。

踏ん張る力を、強固な意志を。


何事にも真っ向からぶつかっていく、不屈の精神を──

もらったんだ。


憧れた。

私も、そう在りたいと。


戦わなきゃ。

私は私の戦いを、しなきゃ。



「可哀相な人」



げらげら笑う取り巻きたちと、不敵な笑みを貼り付けた本城咲妃に向かって、私はそう言葉を投げた。

すると、彼女らの笑い声はぱらぱらと止み、一斉に私へ視線が向いた。


「あ?」


不快感をあからさまに滲ませたその目つきに、怯みそうになるけれど──私は落ち着いていた。

心は、とても静かだった。



「そんな風にしか笑えないなんて。他人の不幸を笑うことしかできないなんて。そんな風にしか幸せを見つけられないなんて……可哀相」



幸せの形は人それぞれで、何が幸せかを他人が決めつける権利はない。

だとしても、人を苦しめて得る幸せなんて、私は欲しくない。


そんなのが幸せだとは、思えない。



「はあ~?お前さー、なんなの?カワイソウとか、お前に言われる筋合いないって」

「ホント、あんたなんかに同情されたくないんだけど」

「カワイソウなのは、お前の方じゃねーの?咲妃の彼氏に手ェ出そうとしてさぁ、お前だって人を不幸にしようとしてたんじゃん」



話にならない。

何を言ったところで聞く耳を持たないのなら、もう言葉は尽きた。


でも一つだけ、どうしても言っておかなきゃいけないことがある。


譲れないものがあるんだ。


私は本城咲妃を真っ直ぐ見据え、はっきり告げた。



「もう二度と、私の友達を傷つけるような真似しないで。今度そんな事したら、絶対に許さないから。あんたを、絶対に許さないから!!」



小春や朝美を、巻き込ませない。


酷い目に遭わせたりしない。


あの笑顔を失わせるようなこと、悲しませるようなこと、絶対にさせない。



「へえ、『許さない』ってどうするわけ?何ができるの?あんたなんかに。それとも……灰次と慧次が脅してくるってこと?」



いやらしく口角を上げる本城咲妃。


女王様のような風格を漂わせる余裕の態度に、私が思わず感嘆しそうになる瞬間があったとしても──。

私はここで尻尾を巻いて、逃げたりはしない。