「みんな必死なんだよ!一生懸命、生きてんだよ!辛くたって苦しくたって、立ち止まりたくないから……もがきながらも、前に進もうとしてんだよ!!」
人はみんな、それぞれの想いを抱えてる。
ジローさんやハイジ、ケイジくん、タイガ、飛野さん。
太郎さん。
小春や朝美。
そして、もっとたくさんの人達。
みんな、どんな大きな壁が立ちはだかっても、ただ前を見て真っすぐに歩いていこうとしている。
遠回りしたって、迷ったって──それでもいつか、自分の足で辿り着いたその先には、きっと希望があると信じて。
「そんな人たちを、歯食いしばってひたむきに生きてる人たちを、笑う権利なんて誰にもないんだよ!!!」
私だって、あんたの遊び道具になんかならない。
絶対に、挫けたりしない。
逃げたりなんか、しない。
とことん、向かっていってやる。
何度でも。何度だって。
「あんたさ、わかりやすいね」
腕を組みながら言い放つ本城咲妃の目つきは、何ら変わりなく人を嘲るように冷たかった。
「いきなりしゃしゃってきちゃってさぁ……風切灰次と慧次がバックについてるから、怖くないってわけ?どうやってアイツら手なずけたの?」
何なんだろう、この感覚は。
さっきまで私の中で激しく燃えていた炎が、嘘みたいに萎んでいく。
熱が静かに退いていく。
この人には、何も届かない。
何も、伝わってない。
彼女の言葉には、私の想いへの理解も、応えも、何一つ含まれていなかった。
わかろうとも、していないんだ──そう悟った。
「アイツらと寝た……わけないよね。だって、花鳥さんだもんね」
……それなら、もういい。
聞く耳を持たないなら、理解しようとしないなら、それでいい。
相手にするだけ、無駄だ。
「マジでどんな手使ったわけ?金?」
「つか、なんでお前なんだよ。ありえないって。灰次くんも慧次くんも、どーせ遊びなんでしょ」
「あんたなんか、すぐ捨てられるよ」
どこから湧いたのか、本城咲妃の取り巻きたちが集まり、彼女を囲むようにして私を取り囲んだ。
この前、放課後に裏庭へ連れていかれた時と同じ光景。
彼女らは威圧的な態度で、口々に非難の声を浴びせてくる。
冷ややかな眼差しと、“言葉”という凶器を用いて、私を徹底的に叩き潰そうとしていた。
その中心で本城咲妃は冷笑を湛え、涼やかな声で吐き出した。
「あんま言い過ぎちゃダメだよ。自殺でもされたら、困るじゃん」
その瞬間、取り巻きたちは歪んだ笑みを一様に浮かべ、甲高い笑い声を上げる。
胸糞悪い馬鹿笑いが、廊下の端から端まで響き渡った。
それが、私にはただの雑音にしか聞こえなかった。


