気まぐれヒーロー2




「ももちゃん、おはよー」


一人で喜んだり落ち込んだり、感情の波を忙しく乗りこなしていたら、校門の前で声をかけられた。


「小春!……と、かっちゃん」

「……なんか、俺はあんま嬉しくなさそうだねーももちゃん」


そこには、ふにゃっと笑う小春と、隣で苦笑いのかっちゃん。

小春とかっちゃんが一緒に登校してくるのを初めて見たから、凄まじいキューティーオーラにあてられ、意味もなくキュンキュンしてしまう。

別にかっちゃんがどうとかではなく、圧倒されただけなんだけどね。


「いや、そういうわけじゃ……アハハ」


それにしても、かっちゃんも白鷹ファミリーの一員。

あのちょっとコワモテな“鷹”メンバーの中に、このキュートな彼が混ざってるの?

かっちゃんも……ショッカーの卵なの!?

やだなあ……すごくオシャレさんで可愛らしいのに。全身黒タイツなんて彼には似合わないよ。

どうせなら美容師とかショップ店員とか、そっち方面に進んだ方が合ってると思うんだけどなあ……。


「あの……ももちゃん?俺、何かした?どこか変?」


かっちゃんが控えめに声をかけてきて、ちょっと不安そうな顔をしていた。

どうやら私は、彼の将来を勝手に案じながら哀れみの目で見ていたらしい。


「あ、ううん。何でもない」

「そう?ドキドキするよ、そんな目で見られたら」

「ご、ごめん」

「いーよ、変な意味じゃないんならさ。ももちゃんの目力にやられちゃいそー。ね、小春ちゃん」

「うん」


にぱっと笑うかっちゃんと小春の周りには、爽快な風が吹き荒れていた。

爽やか過ぎて、私は近寄れなかった。


しかしかっちゃん……彼女いるくせに、いいのか。小春とこんなに親密で。


さっきの飛野さんと美女の関係と被って見えて、悶々としてしまう。
三人で歩きながら校舎に着くと、それぞれ教室に向かった。


小春に「昨日、朝美ちゃんとどこ行ったの?」と聞かれたけど、カラオケに連れていかれただけって答えた。

翔桜の男達に襲われたなんて、言えるわけがない。

タイガ達が助けてくれたからこそ無事だったけど、小春に余計な心配はかけたくなかった。


「今度は私も誘ってね」


そう言う小春に、私は笑って頷いた。


昨日のことを思い出しただけで、ゾクリと背筋が震える。


ただただ、怖かった。


覆い被さるような男達の影。


あの時、タイガとハレルヤさんが来てくれなかったら──。

想像するだけでも恐ろしくて、ぐっと拳を握った。


廊下を歩けば、今日も色んな視線が突き刺さる。

田川の件だけじゃない。


白鷹ファミリーの中でも一際目立つ、風切兄弟と突然親しくなってしまったからだ。

そう、みんなにとっては“突然”のこと。


今まで接点がないように見せて、彼らは私を守ってくれていた。

でも、今は違う。

私の願いを受け入れてくれた。


“仲間”なんだから、胸を張っていればいい。


近づきたくても近づけない風切灰次と慧次に、どうやって取り入ったのか。

探るような目つきが、絶えず私を追ってくる。


だけど、気にしない。


私はもう、未来を信じるって決めたんだ。