気まぐれヒーロー2




「たぶん俺が風呂入ってる間だ。あがってきたら、『忘れてたぜ』とか言ってあの人にスマホ渡されてよォ……やけにニヤニヤしてたし、なーんかおかしいと思ってたんだよなぁ……」

「え……じゃ、じゃあ電話かけてきたのも……?」

「電話!?電話もあったのか!?」

「う、うん」


はあ、と長いため息をつくと、ハイジは片手で顔面を覆った。

肩を落としたその姿は、思わず同情してしまいそうなほど気の毒で、嘘じゃないってことだけは伝わってきた。

それからハイジは、「あの人前科あんだよ、前も違う女に俺の知らねえうちにLIMEやら電話やらしてたんだぞ!?」と私に鬼気迫る勢いで訴えてきた。

そして、本当にこの世から始末しないといけないのは、この緑ボーズじゃなくて金髪デビルの方なんじゃないかと思った。


ハイジからの奇妙なLIMEと電話の謎も解明されて、一つわだかまりが解けた。


「お前、まさか俺からだと思ってあのLIMEを真に受けたんじゃねえだろうな」

「は?」


ほんのり照れたように、睨みをきかしてくるハイジに私は眉をひそめる。

正直あんなメッセージ送られてきたら僅かにでもドキリとはしたけれど、それより何より、気味が悪いとしか思えなかった。


「ついに頭やられちゃったのかと思っただけ」


って言ったら、ハイジは無言で後ろから羽交い締めにしてきて、私のほっぺたを思い切り引っ張ってきた。

「いひゃいいひゃい!」と騒いでも容赦なく、じんじんする痛みに涙目になる。

コイツは一生、紳士にはなれんだろうと思った。



「んなこたぁ、どーでもいいんだ。それよりお前……ケイジに何であんなこと言った」



私はほっぺたをさすり、どーでもいいならここまでしないでよと、ヤツに心の中で悪態をつきながら……ハイジの言葉に首を傾げた。


「あんなこと?」

「……昨日聞いたんだよ、アイツに」

「何を?」

「やっと素直になったんだろ?ももちゃん」


ハイジの口元からは笑みが消え、黒い瞳で私を見据える。


素直になる?

ケイジくんに昨日、言ったこと……。


思い当たるのは、一つだけ。

あの言葉だけ。



“私、みんなの仲間になりたい”



ハイジが指しているのは、これじゃないんだろうか。

その一言が持つ意味を、軽く捉えてるわけじゃない。


それがどれだけ重要なことかって、自覚はしているつもり。

今までは嫌々付き合わされていたことを受け入れて、一緒にいる。

私が、決めた。



「言ったけど……だから何なの?」

「なんで、アイツなんだよ」



わからない。

ハイジの機嫌が悪くなる訳も。


どうして、そんなことを聞いてくるのかも。