気まぐれヒーロー2




沈黙を破ったのは、飛野さんの方だった。



「……見てた?見てたの?」



冷や汗を流しながら聞いてくる飛野さんに、放心状態の私はまともに頭が回るわけもなく。



「いいえ、見てませんとも。私はなーんにも見てませんとも。美人な女の人が飛野さんのほっぺにチューしてたとか、パンツの心配してたとか、あの人が飛野さんの前でしかパンツを脱がないだとか、私は何にも聞いてないし、見てませんとも……」

「一部始終見てんじゃねーか」

「私、飛野さんのこと信じてたのに……仲間を裏切るような人じゃないって、信じてたのに……」

「待て、落ち着け。な、花鳥。冷静になれ。お前、何かすげえ勘違いをしてるだろ?」


飛野さんの冷や汗はさらに倍増していた。
怪しさ満点で、どう見ても後ろめたい人にしか見えなかった。

飛野さんが、ジローさんの彼女と浮気しちゃうなんて……あの、一番誠実そうな飛野さんが……。


これじゃ、男性不信になりそうだよ……。
昨日の今日でこんなの見るなんて、心臓に悪すぎる。



「純情なフリしといて……ひーちゃんのフシダラものーー!!!」

「おい、お前までひーちゃんって呼ぶとはどーいうことだ!──って、待て!!逃げんな!!っつーか前にもこんなことあったよな!?」



私は全力で、飛野さんの前から逃げ出した。

後ろから引き止める声が聞こえてきたけど、無視してひたすら走る。


どうしよう……ハイジやケイジくん、タイガはこのこと知ってるのかな……。


ジローさんは、きっと知らないよね。
秘密の関係なんだろうし……。


でも、あの飛野さんが後輩の彼女と浮気なんてするんだろうか。
パンツで赤面しちゃうような、純情なにーちゃんが。


……ていうか、あの美女って本当にジローさんの彼女なんだよね?

待てよ。本当に?
私の思い込みじゃないの?


もしかして……

飛野さんの彼女じゃないの!?


そうだ、その可能性があるじゃん!!

はっきりジローさんに聞いたわけじゃないし!!

私が勝手に決めつけてただけだ、きっと!!



“意外とキス、上手いんだよね。したことある?ジローと”



……はあ。そうだった。

あの人、ジローさんとちゅーしてたんだった。

しかもジローさん、あの人と普通に話してたし。
手を繋いだりもしてたし。

私と違って、ちゃんと“女の子”として扱われてた。


あーもう、ワケわかんないなあ……。
どうなってんの?


ちょっと乱れすぎじゃないの!?

い、いかがわしい!!