気まぐれヒーロー2




……これが世間一般でいう、“小悪魔”ってやつなのかしら。

間近で目にした私には、レベルが高すぎた。

その高等テクを習得するなんてことは一生無理だろうなと、憧れの小悪魔ギャルへの道を諦めざるを得なかった。


そもそも、作りからして違うんだ。


美女が最新式のドラム型洗濯機なら、私は……二層式洗濯機。

……ふっ、私って古風な女。


いいもーんエコだもーん。


なんて、フォローにすらならないフォローを自分でしていると。



「お前さぁ……スカート短すぎじゃね?」

「えー、そうかな?これくらい普通だよ?」

「いや、短けーって。あんま良くねえだろ」

「冬也、心配してくれてるんだ?あたしのパンツ、他の男の子に見られたくないから~?」

「パ、パンツってお前……!!」

「だいじょーぶよ、女子校だもん」


ああ、飛野さん……。

完全に美女のペースに飲まれちゃって……半分遊ばれちゃって……。
パンツなんて単語くらいで、そんな真っ赤になっちゃうなんて……。

私のパンツチェックを勝手にしてくれちゃったあの双子に、飛野さんの爪の垢煎じて飲ませてやりたい……。



「でも冬也がそう言うなら、もうちょっと長くしちゃおっかな。パンツ見せるのは、冬也だけでいいもんね。……脱ぐのも、冬也の前だけだし」

「っ!!」



はわわわわ!!

ダメだ!KOだ!レフェリーストップだ!!


飛野さんが変なポーズで固まってる……!!


「あっはは!やだー、ジョーダンだってばー!じゃあ、あたし行くね?冬也、いつもあたしのことを想ってね!」


美女は固まったままの飛野さんの肩をバシバシ叩き、極上スマイルで手をひらひらと振って、車の中に戻っていった。

高級車が静かに走り去ると、飛野さんはようやく息を吹き返した。

髪をガシガシ掻きながら、まだ赤い顔のまま、ピンクのバッグを大事そうに見つめている。


私は頭の中が混乱していて、美女と飛野さんのラブラブ──というよりはもう、イチャイチャに近いやり取りに現実逃避しかけていた。


口をだらしなく開け、目も生気がなく虚ろで。
見るに耐えない悲惨な顔で立ち尽くしていると……

不意に飛野さんが振り返り、ばっちり目が合った。



「は、花鳥……!!」



飛野さんは究極ブスに成り果てた私を見た瞬間、ビクッとなった。


お互い無言の中、スズメのチュンチュンという鳴き声と、通り過ぎる小学生たちの笑い声だけがやけに響いていた。