気まぐれヒーロー2




「うわっ!や、やめろ!!」


ビシビシと襲いかかるダンゴムシを、ハイジは必死に腕でガードしている。


なんという低レベルな争いなんだ……。

小学生かコイツらは。


ダンゴムシバクダンに、そこらのバッタで応戦するハイジ。


「やめんかああああ!!」


ああもう、イライラする!!


「生き物で遊ぶなパーンチ!」

「うっ、」

「命は大切にキーック!!」

「ぐむっ」


パンチはケイジくんのみぞおちに、キックはハイジのゴールデンボールにまたまたクリーンヒットした。


空き地に転がる緑と赤を、息を荒げながら見下ろしていると──



“奥さま、見ました?あのコ、真面目そうなのにあんな大きな男の子達を一人で負かしちゃって……”

“ええ、見ましたわよ~。怖いわよね~。最近のコは大人しそうでも、何するかわからないから……”



ヒソヒソと話す近所のおば様たちの声が、耳に飛び込んできた。

い、いかん。
このままでは、井戸端会議のネタにされてしまう……!!


倒れている二人を置き去りにして、私は全速力で逃げ出した。



「はぁ……もー疲れる……」



走り続け、学校が見えてきた頃にようやく速度を落とす。
息を整え、ゆっくり歩き出した。

一人で歩く街は静かで落ち着いている。
道行く人も、私になんて目もくれない。

シャッターが下りた商店街、鳥のさえずり。

それらが、穏やかな朝を演出してくれる。


そうだ、これが本来の登校風景だった。

なのに、あの二人が絡むと全部ぶち壊されてしまう。ロクなことにならない。

これからもこんな疲労に悩まされると思うと、気が重くなる。



一人って楽だなぁ……と、束の間の平和を味わっていると──
前方に、見覚えのある後ろ姿を見つけた。


黒髪で、背の高いスラリとした男の人。

あれは、飛野さんだ。

飛野さん……迷ってないのかな。
ちゃんと学校までの道、わかってるんだろうか。


声をかけようか迷っていると、一台の車が音もなく近づき、飛野さんの横で停まった。


見るからに高そうで、お金持ちオーラ全開だ。

たぶん、リムジンってやつじゃないのかな。

テレビでしか見たことないから、自信ないけど。


そして、その高級車から降りてきたのは──



「冬也!!」



あの、美女だった。