「ええやん、ツレへんなぁ。何なん、俺がおったら邪魔やった?二人っきりがよかったん?」
「んなコト言ってねーだろ!!」
ケイジくんのわざとらしい目つきと声色に、ハイジはムキになって反論している。
そんな双子をうちの両親は、ニコニコしながら眺めていた。
私が脱力して突っ立ってると、突然お母さんに腕をぐいっと引っ張られ、危うく転びそうになった。
“ちょっともも、ハイジってば双子だったの!?言ってよ~!イケメンが二人なんて、お母さん困っちゃう~どうしよ~選べな~い♡”
耳元でこそこそ囁いてくるお母さんは、朝からばっちりメイクで、濃すぎて引いた。
つけマツゲが取れかけてて、壊れかけのフランス人形みたいで一種のホラーだった。
“っていうかさ~、あたしハイジがあんたの彼氏だと思ってたんだけど?違うの!?どっちがあんたの彼氏なのよ!?それとも二股!?あんたを、イケメン二人が取り合ってるの!?も~、あんたやるじゃないの!さっすがあたしの娘ね~”
何を言っとるんだ。
お母さんがここまで濃いメイクしてるのなんて、参観日以来だ。
何がどうなってこうなってるのか、さっぱりわからん。
双子には魚の切り身や玉子焼き、お味噌汁と、朝から旅館レベルのメニューが並んでるのに。
それに比べてお父さんは、食パン一枚とコーヒー。
お父さんが不憫すぎて、可哀相だった。
そして私の分も、上に何も乗ってない味気ない食パンだった。
やり切れない思いを抱えながら、もそもそとパンをかじる。
その間じゅう、リビングはお母さんと双子の声でうるさいったらなかった。
朝ごはんを終え、洗面所で顔を洗い歯を磨き、制服に着替えるため自分の部屋へ戻った。
パジャマを脱ぎかけた瞬間、ドアが勢いよく開いた。
「ぎゃー!!お、乙女の部屋にノックもなしに入ってくるな!!」
「パンツチェックしよーぜ、パンツチェック」
「ももちゃんのパンツってどんなんやろな〜。逆に興味あるわ」
逆にってどういう意味だい。
私の存在なんかまるで無視して、双子は衣装ケースの一番下の段を開け、しゃがみ込んでパンツを一枚ずつ慎重にチェックしていた。
二人の顔は、見たことないくらい真剣だった。
死にものぐるいで止めに入ったものの、双子のパンツ査定会はラスト一枚まで中断されることはなかった。
何度ため息が聞こえたか、わからない。
結果、私の所持パンツの総合得点は0.7点という微妙すぎる得点だった。
でも0点じゃないだけマシか、なんて思っていたら、
「あ、マイナスつけ忘れてた」
ハイジが爽やかに笑って言った。
二人まとめて部屋からたたき出した。


