「うめー!!マジうまいっスね、この玉子焼き!!」
「ほんまほんま、どこのプロが作ったんか思ったわ~」
──腰を抜かすとこだった。
それどころか息の根止まるとこだった。
リ、リアルガチャピンとムックが、うちに居座っとる……!!
じゃなく、ハイジとケイジくんが、我が家のリビングで朝ごはんを食べていた。
バカな……そんなバカな……!!
夢だ、これはきっと夢の続きなんだ!!私はまだ夢の中にいるんだ!!
双子が両親と並んで和気あいあいと朝食を取っているところへ、私は猛ダッシュで突進していった。
「うおおおおお!!」
「あら、あんた起きてたの──」
お母さんを無視して、私はノンキにご飯をつついてるハイジの胸ぐらを掴むと、勢いそのままに頭突きをくらわした。
「ぐっ、おまえ……!」
ゴツンという鈍い音。
視界にお星様がちかちか飛んだ。
次に、ぐわんぐわんと頭が揺れるような痛みが襲ってくる。
「ゆ、夢じゃない……」
「いてーなコラ!いちいち俺を巻き込むんじゃねえ!!朝イチで人に頭突きくらわすとは、どんな育ち方してきたんだお前は!親の顔が見てみてーよ!!」
いや、目の前にいるし。
「やあね~パパ、ハイジに誉められちゃった~」
「あはは、ももにはいつも愛情を注いでるからね」
いやいやいや、そこ照れるとこじゃないし。
ってか、二人ともなんか間違ってるし。
「『おはようハイジくん、今日もとっても魅力的ね』ぐらい言ってみろ、ぽんぽこタヌキが」
おでこをさすりながら、ハイジはぷんすか怒っている。
それを見て、これは夢じゃないのだと悟った。
夢ならどれだけ良かったか。
「ももちゃん、朝から激しいな~」
「ケイジくん……これはいったいどういうこと?」
唯一まともに取り合ってくれそうなケイジくんに、事情を聞くことにした。
「うん、ももちゃんと一緒に学校行きたいなーって思って」
「な、なんで?」
「理由なんていらんやん?一緒に行くだけやのに」
そうなの?そういうものなの?
にこにこしてるケイジくんに不審な目を送りつつ、風切兄弟の前に並べられている朝食が最大の謎だ。
「まあ、それはいいとして……どうしてうちで朝ご飯食べてんの」
「俺は一人で来るつもりだったのによー、コイツが勝手についてきたんだよ」
おでこを赤くしたハイジが、むすっと言い放つ。
私が聞きたいのは、そういうことじゃないんだけども。


