気まぐれヒーロー2




「そんな格好で帰るつもりか?」


ハイジが、いつになく真面目な顔でそう言ってきた。

どんなつもりでコレをくれたのか、すぐに察した。

タイガの制服の上着を羽織ってるけど、その下は翔桜の男たちに引き裂かれた、ボタンのないボロボロのカッターシャツ。

言われてみれば、こんなひどい格好で帰れるわけない。

このシャツを見られたら、何かあったのがバレて、両親を余計に心配させてしまう。


「……ありがと、ハイジ」


なんだか、胸がきゅうってなった。

ここまで私の事を考えてくれてるんだ、って。

私ですら気づけてなかったのに。

ハイジの優しさに、ぐっときた。
いつも意地悪されてるだけに、余計に。

コレ誰のなんだろとか、どこから調達してきたんだろとか、気になることはいくつかあったけど。


「返さなくていいからな、ソレ。もうお前のだし」

「でも……」

「いーって。今まで一回も着たことねえし、この先も着ねえって言ってたから」

「……ん、わかった」


“言ってた”ってことは、このシャツの持ち主は女の子で……きっと、ハイジの知り合いの中の一人なんだろうなって思った。


「あの……覗かないでね」


後ろで着替える前に、飛野さんは心配無用だけれど、ハイジには一応釘を刺しておいた。

案の定ハイジは、


「アホか、誰がお前の色っぽくもなんともねえ着替え覗くんだよ!いいか、俺はチチはD以上ねえと興奮しねーんだよ。なあ、飛野さん」


バッサリと私の貧乳を否定し、さらには飛野さんにまで同意を求めていた。


「いや、俺はでけえよりは小せえほうが……って、何言わすんだお前は!」


ハイジのフリに乗っかっちゃった飛野さんは、純情なのにうっかり本音をぽろりしていた。

やっぱり顔は赤かった。


さっさと着替えを済ませると、ボロボロのカッターシャツはハイジが処分してくれるらしく、引き取ってくれた。

タイガの上着も「いい」って言ったのに、そんなの持って帰ったら結局怪しまれるからと、取り上げられてしまった。