気まぐれヒーロー2




「ん~……着いたのぉ?イケメン島に〜……」


何だそれは。そんなんねーよ。
あったら拝んでみてーよ!

と心の中でツッコミながら、眠たそうに目を擦る朝美を笑顔で迎えた。

まだぼんやりしてる朝美と一緒に車を降りて、玄関まで送っていく。


「ハイジくん~飛野センパイ~ありがとぉございました~。おやすみなさい☆」


朝美は、星が飛んできそうなウインクを車内の二人に送った。

ハイジは徹底無視で、飛野さんは優しく笑い返していた。


「こんな時間に帰って、お母さんとか心配してない?」

「平気だよォ、今日はママもパパもお出かけしてるから」

「そ、ならいいんだ。ケガ、ないよね?……大丈夫?」


朝美と少し話してから、別れようと思った。

夜も遅いから声を落として話してたけど、朝美はそんなの気にせずハイトーンで。
なぜか私の方が、近所迷惑じゃないかソワソワしていた。

私の巻き添えになって、翔桜の連中に襲われた朝美。
しかも、本城咲妃にあんな裏切り方をされて。

今はタコさんな朝美だけれど、本当は傷ついてるんじゃないかって。

タイガたちに助けられたけど、それが心配だった。


「大丈夫って、何が~?どっこもケガなんてしてないよ?」

「そっか、良かった。じゃあね」


けれど、朝美はけろりとしていた。
その顔が“何のこと?”って感じだったから、私も安心して笑った。

くるりと背を向けて、車に戻ろうとした時──


「あ、もも!あのね、その、アサミね……」


呼び止める声。
振り返ると、朝美がもごもごと口ごもっていた。

何か言いたそうなのに言えなくて、そんな姿が朝美らしくないなって思った。


わかってるよ、朝美。

あんたは最強に空気読めなくたって、そこに悪気がないこと。

今日のこと、反省してくれてること。

ちゃんと、謝ろうとしてくれてることも。


だから、ね。



「また明日ね!」



私はそう言って、いつも通り笑った。


許せる自分でいたい。
強くて、ちゃんと優しい自分で。


明日。
また、明日。

また笑おう。

また、首絞めるかもしんないけど。


俯いていた朝美が、ぱっと顔を上げる。
目をぱちくりさせたあと、弾ける笑顔になった。



「うん!朝美とももはぁ、と~っても仲良しだもんね~!!大親友だもんね~!!うふふふふ」

「ハハハハハ」



そこは全否定させてくれ。


ご機嫌で帰っていく朝美の背中を見送り、私はようやく車へと戻った。