「ん~……着いたのぉ?イケメン島に〜……」
何だそれは。そんなんねーよ。
あったら拝んでみてーよ!
と心の中でツッコミながら、眠たそうに目を擦る朝美を笑顔で迎えた。
まだぼんやりしてる朝美と一緒に車を降りて、玄関まで送っていく。
「ハイジくん~飛野センパイ~ありがとぉございました~。おやすみなさい☆」
朝美は、星が飛んできそうなウインクを車内の二人に送った。
ハイジは徹底無視で、飛野さんは優しく笑い返していた。
「こんな時間に帰って、お母さんとか心配してない?」
「平気だよォ、今日はママもパパもお出かけしてるから」
「そ、ならいいんだ。ケガ、ないよね?……大丈夫?」
朝美と少し話してから、別れようと思った。
夜も遅いから声を落として話してたけど、朝美はそんなの気にせずハイトーンで。
なぜか私の方が、近所迷惑じゃないかソワソワしていた。
私の巻き添えになって、翔桜の連中に襲われた朝美。
しかも、本城咲妃にあんな裏切り方をされて。
今はタコさんな朝美だけれど、本当は傷ついてるんじゃないかって。
タイガたちに助けられたけど、それが心配だった。
「大丈夫って、何が~?どっこもケガなんてしてないよ?」
「そっか、良かった。じゃあね」
けれど、朝美はけろりとしていた。
その顔が“何のこと?”って感じだったから、私も安心して笑った。
くるりと背を向けて、車に戻ろうとした時──
「あ、もも!あのね、その、アサミね……」
呼び止める声。
振り返ると、朝美がもごもごと口ごもっていた。
何か言いたそうなのに言えなくて、そんな姿が朝美らしくないなって思った。
わかってるよ、朝美。
あんたは最強に空気読めなくたって、そこに悪気がないこと。
今日のこと、反省してくれてること。
ちゃんと、謝ろうとしてくれてることも。
だから、ね。
「また明日ね!」
私はそう言って、いつも通り笑った。
許せる自分でいたい。
強くて、ちゃんと優しい自分で。
明日。
また、明日。
また笑おう。
また、首絞めるかもしんないけど。
俯いていた朝美が、ぱっと顔を上げる。
目をぱちくりさせたあと、弾ける笑顔になった。
「うん!朝美とももはぁ、と~っても仲良しだもんね~!!大親友だもんね~!!うふふふふ」
「ハハハハハ」
そこは全否定させてくれ。
ご機嫌で帰っていく朝美の背中を見送り、私はようやく車へと戻った。


