気まぐれヒーロー2




「“あの日”から……響さんには、詫びてばっかだった。なんで俺を生かしたんだって。なんで、あんたじゃなかったんだって。あんたの命の方が、重いはずだろって」



ジローさんが話す一言一句を、この耳でしっかり聞いていた。
逃したくなかった。


私もジローさんから目を逸らさずに、ちゃんと向き合っていたかった。



「でもよ、わかったことがある。今、あの人に言えることがあるとしたら……それは謝罪じゃねえ。もう、詫びはしねえ」



彼は、私に真剣に伝えようとしてくれている。


同じ傷を抱えているあなただから。

何よりも近い、あなただからこそ──。




「感謝してる。俺の命を、未来に繋げてくれたこと。お前に、繋げてくれたこと。お前に……会わせてくれたこと」




なんて、強い瞳なんだろう。


どうしよう……私、もうダメだ。

胸が苦しい。

いっぱいいっぱいで、壊れそう。


私、ちゃんと立ってる?

ジローさんの目に映ってる?


それすらもわからない。
視界が歪んで。

ちゃんと、彼を見ていたいのに。



「ありがてえと、今はそう思ってる。もう少しでまた、失うとこだった。仲間を。大切なものを。俺を見捨てず、離れていかなかったアイツらを」



本気で叱ってくれる人は、本気で想ってくれてる人。

とても、優しい人。


怒るというのは、自分の心をその人に曝け出さなければできないこと。

ジローさんには、躊躇わずにそうしてくれる仲間がいる。


タイガは、本気でぶつかってきた。


ハイジは、ジローさんのためにいつも動いてる。


ケイジくんは、私をみんなの仲間に迎え入れてくれた。


飛野さんは、ジローさんと向き合う場を作ってくれた。



みんな、彼のために。


ジローさんを思ってくれていたんだ。

不器用な、わかりにくい優しさで。




「お前が気づかせてくれた。俺には、お前が必要なんだよ」




そして、その言葉に救われたのは──私のほうだった。


人は、何度でも立ち上がれる。

何度でも、再生できる。


きっかけなんて、ほんの些細なこと。


気づかないだけで、誰の中にも強さはある。


生きようと、生きたいと思える……そんな“何か”を見つけること。

それが、生きるってことなのかもしれない。


絶望の底から立ち上がったジローさんの姿には、揺るぎない強さがあった。

そんな彼に、心が震える。


生きていける。ジローさんと。

一緒に、生きていけるんだ。



お兄ちゃんの願いが、想いが──ちゃんと届いたんだ。


彼に。