気まぐれヒーロー2




「やっぱり、何を言われても好きなんです。ジローさんも、みんなも。だって、優しいの知ってるから」

「……甘ェのかもな」

「え?」

「アイツの言う通り、お前は甘ェって思う」



アイツは……タイガ?


タイガが私を『甘い』となじったように、ジローさんも……?



「けどそんなお前だから、アイツらマジになってんだろうな」

「……?」

「お前、いつだって本気だしな。本気でアイツらに向かっていくし。逃げねえし。怖がんねえし」


違うよジローさん。
怖いよ、すごく。

だから必死なの。

全力じゃないと、みんなの“本気”についていけないの。


「力みすぎなんじゃね、って思うけど。そうじゃねえと、動かなかったろうな。俺を諦めてたアイツらが」


ジローさんの言葉の意味がすぐには掴めなくて、ぼんやり彼を見上げた。

そんな間抜けな顔の私に構わず、ジローさんは続ける。



「俺が諦めてたから、アイツらも諦めた。マジになる前に、俺が“諦めさせた”」

「……」

「けど、お前なんだろうな。アイツらが熱くなる理由は。お前を守りてえんだと思う」

「私、……」

「こんな感覚、久々すぎてヤベえっつーか……すげえって思った。アイツらの目──俺に挑んでくる目が、すげえ“生きて”んだ。トリハダ立ちそうになった」


私もそうだった。

彼らの本気に、魂に、ゾクゾクした。


そして、そんなふうに彼らを語るジローさんの目も……“生きよう”としている。


鳥肌が立ちそうなのは、私も同じ。
目が離せなかった。


ジローさんが──

誰よりも“死”を望んでいたはずの彼が。


今、自分に向き合ってる。

彼らと向き合ってる。


歩き出そうとしている。


光へと。



「そんなアイツらを、お前を、羨ましいとさえ思う。俺もそんなふうに、生きていきてえ」



“羨ましい”

彼はそう言った。

端からみれば、人が羨ましいと思うのは、彼のはずなのに。


でも、そう思うのは彼を知らない人だけ。

私も、前まではそうだった。




「他人に俺の“生”を預けるんじゃねえ。生きる意味を、委ねるんでもねえ。俺が、俺自身が、生きてえんだよ」




ねえ──


お兄ちゃん、聞いてる?


ジローさん、『生きたい』って言ったんだよ。

自分の意思で、自分の言葉で。
『生きたい』って。


私から目を逸らさずに、言ってくれたんだよ。