「っ、……いだい……」
朝、アラームの音に起こされてベッドから出ようとすると、全身のあちこちが痛みを訴えてきた。
昨日、本城咲妃率いるギャル軍団にやられた結果がこれだ。
幸い、顔は腕で守ってたからアザは免れたものの、そうっとパジャマの裾をめくってみれば、ふくらはぎに青黒い内出血が小さく浮かんでいた。
ここはまだマシだけど、太ももとか他のとこにはもっとあるはず。
帰ってすぐに部屋着に着替えたから、お母さんにバレることはなかった。
そして、この痛みが昨日の出来事は夢じゃないんだと……私に知らしめる。
真っ暗な闇から抜け出せなくて、一人ぼっちで彷徨ってた。
でも、そうじゃなかった。
一人じゃなかった。
“信じてるからね”
頼もしくて、心優しい友達がいる。
“一人でどうにもできんのやったら、誰かに頼ったらええ”
周りが見えていなかった私を、彼は彼なりのやり方で導いてくれた。
我慢をすることも時には必要だけれど、それがかえって解決への道を塞いでしまうことも。
だから──
“みんなの仲間になりたい”
私の心からの言葉を、ぶつけた。
思い返してみれば、それはつまり私もヤンキーの仲間入りってことで。
ハイジが私をオモチャにするのも
タイガのエロ爆弾をくらうのも
ジローさんのペットでいることも
全部、私は了解してしまったってこと。
「ふふっ……私、ついにくるとこまできちゃったってわけね……」
ついにヤンキーレンジャーの一員になってしまった。
私一応女だし……桃レンジャー?
ちょうど名前も『もも』だしね。
ちょうどいいじゃんピッタリじゃん!!
ああっ!!でもアレ?もしかしてアレ!?
髪色、ピ、ピンク!?
「いやしかし、それはいくらなんでも……ぶつぶつ……」
「もも!あんた何一人でぶつぶつ言ってんの!!早く降りてきなさい、遅刻よ!!」
ぶつぶつ言ってるところに、急に部屋のドアが開けられ
鬼が入ってきた。
「でたな妖怪三段たるみ!!!」
「なっ……何だってえ!?あんた今何つった!?表出んかいコラァ!!!」
それからは散々だった。
お母様にラリアットをくらわされヘッドロックをかけられ、仕上げは得意のジャイアントスイングだった。

