Moon Venus

そして、着替えを手伝おうとするメリザに

「ぎゃっ!待ってメリザ!ちょっと…テレるからっ」


顔を真っ赤にさせて慌てるシオンを見てメリザは笑ってしまった


「メリザの仕事取るつもりじゃないけど……その、慣れるまで…」


「わかりましたわ」




ドレスを着替え終わると、後ろからメリザがフワフワとショールをかけてくれた



…なんかセレブみたい


部屋をノックして入ってきたのは、まだ幼い顔をした女の子


「ティナっ!」

メリザがその少女の隣りに立ち

「まだ見習いの使用人ですが、勉強のためシオン様のお世話を一緒にさせてもら
ってもよろしいでしょうか?」


少女は顔を真っ赤にさせたかと思うと勢い良く頭を下げて

「ティっ、ティナと申しますっ。未熟者ですが、せっ、精一杯、お世話をさせて
いただきたいでっす」


噛み噛みの挨拶をしてくれた


「ティナ…ごめんね。あたしなんかの世話人で。シオンって言うの。よろしく」


「よっ、よろしくお願い致しますっ」


そこまで畏まらなくてもいいのに…


「あたしなんかに緊張してる?普通でいいんだよ」


未だ頭を上げないティナの頭を優しく撫でた



「さっ!ティナ!初仕事よ」