「シオン様…?」


ドアを開け、小さな声で呼んだメリザの声はしっかりとあたしの耳に入ったが、
構っていられない



「シオン様っ!どうなさいましたっ?」


慌ててしゃがみ込んだメリザに、吐き気が邪魔をして何も話せない


口に手を当ててるあたしを見たのか、背中を擦りながら


「今、お水をお持ちしますわ」




バスルームに入ったばかりのメリザが表情が強張っているを見て

「何かあったのか?」

クローディアがメリザに尋ねたが

水を持って、急いだ彼女に言葉は届いていないみたいだった



シオンの傍に駆け寄ったメリザは、シオンの口に水を少し含ませた

「み…水……」


水を入れたグラスをシオンに持たすが、見ていられないメリザはグラスを下から
支え、背中を擦った


「…大丈夫で」

メリザの言いかけの言葉に


「平気っ、落ち着いてきた」

それを聞いてやっとメリザに笑顔が戻った