Moon Venus

男の人が部屋を出て行き、詩音はゆっくりと上半身を起こした

「起き上がって大丈夫でしょうか?」


心配するメリザに

「ん……だいぶ良くなった」

気付けば素直に答えていた


「貴女様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「そんな畏まって話さないで……ちょっと困る」


そう言った詩音に微笑み

「はいっ。私はメリザと言います。メリザ・シャティン。メリザとお呼びくださ
い」


「あ、あたしは如月詩音です」

「キサラギシオン?」

「えっと…シオン・キサラギ」

メリザは顔はパッと明るくさせ

「シオン様ですね!」

微笑むメリザを見て、言葉遣いは癖なんだと自分に納得させた


「ここは…北海道じゃないの?」


改めて疑問を口にした詩音に

「ホッカイドオ?」