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 翌日、二人は朝早くから街へと繰り出した。
 食事やお茶をしたり、お目当ての店への道のりを歩きつつ、二人のおしゃべりは止まらない。


「ねえ、この間ウィルバート様に連れて行ってもらったお店ってどこ? たしか通りを挟んだ向こう側って話だったわよね?」

「あちらのお店ですわ。店構えからして、とっても素敵でしょう?」

「素敵だけど……たとえば今から私たちだけで入れるものなの?」

「無理ですわね。侍女のお給料ではとても手が届きませんもの。買う気がないとすぐにバレて気まずい思いをするだけですわ」


 クスクス笑いながら店を眺めつつ、ロゼッタはそっと目をつむる。


「そう考えると、やっぱりこの世はお金がすべてだなぁと実感しますわね」

「お金ねぇ……言いたいことはわかるけど、ロゼッタが言うレベルのお金持ちって、本当にほんの一握りしか存在しないじゃない?」

「そうですわよ?」


 わかっているからこそ、こうして婚活に躍起になっているのだ。