「なによ、浮かない顔しちゃって。クローヴィス殿下に限らず、候補者があんなにたくさんいるんだから、もっと嬉しそうな顔をしてしかるべきでしょう? 私なら常にニマニマ笑っちゃいそう。こっちは最近はロゼッタが夜会に付き合ってくれないから、新しい出会いが全然ないっていうのに」

「それは……そうよね。ごめんなさい」


 ほんの少し前まで、毎晩のように二人で夜会に馳せ参じていたのだ。クロエの不満もごもっともで、ロゼッタはシュンと肩を落とす。


「ちょっと! どうしちゃったの、ロゼッタったら。そんな本気に受け取らないでよ。新しい出会いが云々っていうより、私はロゼッタと出かけるのが楽しいって言いたかっただけなの! 最近全然構ってくれないんだもの」

「クロエ……」


 沈んでいた気持ちが少しだけ高揚する。