「――うん。やはり君にはピンクがよく似合うな」


 と、嬉しげな声が聞こえてきて、ロゼッタは思わず顔を上げた。
 見れば、大粒のピンクダイヤがあしらわれたネックレスを掲げつつ、クローヴィスが満面の笑みを浮かべている。


「俺はロゼッタ嬢には変に背伸びなどせず、自分らしく活き活きと笑っていてほしい。そして、君の笑顔を守る男は俺でありたいんだ」

「殿下……」


 これまでまったく響いてこなかったクローヴィスの口説き文句が、ロゼッタの心をほんの少し動かす。


(ずっとずっと、殿下はわたくしの容姿だけを好んで、声をかけていらっしゃるのだと思っていたけれど)


 どうやらそうではないらしい。


「わかりました。殿下のことも……考えてみます」


 ロゼッタがそう返事をすると、クローヴィスは満足気に笑った。